上写真=板倉滉が守備のリーダー。クリーンシートでワールドカップ出場を決めてみせる(写真◎サッカーマガジン)
「後ろが重要になってくる試合になる」
「相手も死ぬ気で戦ってくる。気を抜かずにやらないといけないと思います」
ディフェンスリーダーである板倉滉が自分と仲間に改めて釘を差すのは、8大会連続8回目のワールドカップ出場に圧倒的優位な状況で王手をかけているから、だけではない。余裕を抱きがちなメンタルのところに限らず、「(前回対戦の)5-0という数字だけ見たら簡単な試合に見えがちですけど、実際に戦っている自分としてはそうではなかった」と、もう少しリアルな、フィジカルな感触がそう言わせている。
「アウェーのときは立ち上がりにピンチも多かった中で、まずは失点ゼロでいけた。そこが勝った要因の一つだと思っています。1点を入れられていたら一気に試合の流れも変わるし、その集中力は切らさずにやらないといけない。相手の前線には点を取れる選手がいると思っていますから」
鋭い攻撃へのつぶさな対応が腕の見せどころになるが、そこで武器になるのが「コミュニケーション」である。
「こちらが攻めている時間が多いかもしれないし、もちろん守備に追われる時間もあるかもしれない。しっかりとコミュニケーションを取りながらやらないと」
そもそもが、誰とでも明るく接する快活なキャラクターの持ち主。ポジティブな意見交換の積み重ねがあったから、5勝1分け、22得点2失点という圧倒的でほとんどスキのない結果を残すことができたのだ。
そんなコミュニケーションが改めて試されそうなのが、まさにバーレーン戦だ。
最終予選の長い時間、3バックを形成してきた谷口彰悟、町田浩樹が負傷でメンバー外。インドネシアとのアウェーゲームで組んだ橋岡大樹もケガ明けで選ばれていない。中国とのアウェーゲームでともに戦った瀬古歩夢、長い負傷からついに復帰した伊藤洋輝、若き才能の高井幸大、久々に帰ってきた中山雄太らが候補になりそうだが、いずれも最終予選はほとんど出ていないか一度も出ていない。そんな彼らと短い時間の中でいかに濃密なすり合わせができるか。
「この短い準備期間でもコミュニケーションを取ってやっていますし、本当に後ろが重要になってくる試合になる。一秒たりとも気を抜かず、チームとしてそこに緩みが出ると一気にやられる。それが最終予選だと思っている。引き続き、これまでやってきたいい入りを意識していきたい」
誰と組もうが、ハイレベルな組織を構築するのが代表選手のあるべき姿。まさに前回のバーレーン戦のように、仮に押し込まれようとも引き締めて、しゃべりまくって失点ゼロで。