上写真=悔しさを噛み締め、空を見つめる三笘薫(写真◎Getty images)
自分たちの実力は下だと認めないければいけない
ピッチに登場したのは67分。久保建英に代わって途中出場した三笘に期待されていたのは、1−1からスコアを動かすことだ。
だが、イランのタフな守りになかなか決定的な形をつくれなかった。
「相手に攻め込まれるシーンが多くて、そこから自分たちに流れを持って来れたら良かったですけど、相手の寄せもタフなところがありましたし、ぼくもボールをロストしたところもありましたし、流れは変えられなかった」
後半、ロングボールを交えて攻めてくるイランの圧力を受けた日本は、自陣でプレーする時間が長くなった。陣地の回復がままならない中、三笘の登場が改善策になるはずだった。しかし、そもそも三笘にボールが渡らなかった。
チームの重心が下がっていたこともあり、左サイドバックの伊藤洋輝の位置取りの問題もあって、ビルドアップの局面でセンターバックから三笘にパスを通せないシーンがしばしば。左の翼は、期待されたプレーをほとんど出せなかった。
「ボールを持てば前進することを意識していましたけど、なかなか、ボールをもらえなかったところと少ないボールをもらったところでもアクセントになれなかったですし。やり切ることが必要でしたし、そういうことを考えながらやっていましたけど、ダメでした」
今大会、三笘が出場したのはラウンド16のバーレーン戦と今回のイラン戦の2試合だけ。いずれも途中出場で、2試合合計のプレー時間は45分とアディショナルタイムだけ。左足首のケガを抱える中で招集され、決勝トーナメント以降の活躍を誓ってリハビリに努めてきたが、決定的なプレーを見せられないまま、大会をあとにすることになった。
「(カタール・)ワールドカップの時もそうでしたけど、チームに貢献し切れていない事実は認めないといけないですし、タフに戦い続けている選手がいて、そこに自分が関われないところで、準備もそうですし、ケガについては仕方ないところもありましたけど、うーん、悔しいですね、本当に」
現在のチームが掲げている目標はワールドカップ優勝だ。だが、厳しい現実を突きつけられた。アジアの頂点を決める大会で、ベスト8に終わった。
「今日の相手に対して、特に120分戦った相手に対して(イランはラウンド16で延長・PKを戦っていた)、勝てないとなると、自分たちの実力は下であるというのを認めないといけないですし、試合展開からしても受け身になったところがありました。自分たちが優位性を持って進めたかというと、まだまだだったなと思います。先制した後の戦い方に課題がある」
ヨーロッパで、イングランドでインパクトを与えている「MITOMA」の力を最後までアジアの舞台で見せることはできなかった。
「最後、延長戦もある中で、チームとして何をすべきかというところ、一人一人が一緒になって動いていたかというとそうではなかったと思います。一つひとつの球際とか、そういうところのプレーは勝ちたい気持ちが出ると思いますけど、そこで負けていたのは受け止めないといけない」
勝ちたい気持ちが足りなかった。端的に言えば、それが敗因の一つ。
この先、よりたくましくなった三笘薫を、そして勝利を渇望する日本代表の姿を見せることができたなら、悔しさが募る今回の敗戦も意味がある。それは、三笘のこれからの挑戦でもあるだろう。