日本代表は3日、アジアカップの準々決勝でイランと対戦し、1ー2で敗れた。前田大然の左サイドハーフ起用で相手の攻撃を寸断するなど前半は素晴らしい内容を見せ、先制に成功したが、後半は一転して劣勢となり、ミスも頻発。逆転負けを喫し、ベスト8で大会をあとにすることになった。

上写真=アディショナルタイムに板倉がPKを与え、イランに逆転を許した(写真◎Getty Images)

■2024年2月3日 アジアカップ準々決勝(観衆35,640人@エデュケーション)
 イラン 2−1 日本
 得点:(イ)モハマド・モヘビ、アリレザ・ジャハンバフシュ
    (日)守田英正

前半は狙い通りの試合運びだったが…

 前半は日本の狙いがハマった。左サイドハーフに前田大然を起用し、猛烈なプレスで相手の右サイド攻撃に制限をかける。そして高い位置でボールを奪って一気に攻めに転じる。ボールを逆サイドに展開されても堂安律がプレスバックを怠らず、イランの攻撃を封じ込めた。相手が前から激しくプレスをかけてこなかったこともあり、板倉と冨安が持ち上がり、状況に応じて縦パスをさし、サイドへ展開して攻撃を形づくっていった。

 ポゼッションで大きく上回った日本は、見事な展開からネットを揺らす。左サイドに流れた守田が伊藤からボールを引き出すと、センターフォワードの上田をポストに使って中央へ進出。相手に当たられても力強くボックス内へボールを持ち込み、バランスを崩しながらもGKの位置を見てシュート。キックはミートしなかったが、狙ったコースがよく、ボールはGKの右足に当たってゴールへと吸い込まれた。

 前半は日本が思い通りに試合を進めたと言っていい。ミスがあっても高い集中力で互いをカバー。40分には相手のロングフィードに板倉が被ってしまい、サマン・ゴドスにシュートを許したが、冨安がシュートコースを限定し、鈴木もしっかりポジションを取って相手のミスを誘った。前半は攻守両面で日本がイランを上回った。

 だが後半、先にネットを揺らしたのはイランだった。55分、GK鈴木のキックを回収され、アズムンに縦パスをあっさり入れられる。冨安が当たりにいったが、スッとかわされ、ボックス内へもパスを通された。斜めに走り込むモハマド・モヘビに板倉が付き切れず、シュートを許す。攻めの圧力を強めた相手に流れをつかまれて、同点にされてしまった。

 その後も日本のピンチが続く。63分には縦パス一本で抜け出され、アズムンにネットを揺らされる。オフサイドの判定で失点は免れたが、危ないシーンだった。以降もアズムンには再三、ギリギリのラインブレイクを狙われ続けた。

 日本は流れを変えるべく、67分に久保と前田に代えて南野と三笘を投入。後ろにかかりがちな重心の位置を改善し、再び攻めに出ることを狙った。しかし自陣でプレーする時間が長くなり、なかなかいい形で攻めに転じることができない。アバウトなボールを回収されるケースも多く、苦しい戦いを強いられた。

 それでもゴールだけは許さず、日本は耐えながら反撃の時を待った。だが、その瞬間は訪れず、逆に予期せぬ形でゴールを奪われてしまう。日本の左サイドから放り込まれたロングボールを毎熊が競ったが、先に相手に触られ、ボールはボックス内で頭上にふわりと上がった。そのボールをクリアしようと板倉がジャンプするが、背後にいた冨安と重なってうまく処理できず。バウンドしたところに足を出したものの、勢いよく走り込んできたホセイン・カナーニを蹴る形になり、PKを献上。大事な場面でミスが起こった。

 これをアリレザ・ジャハンバフシュに決められ、1−2と勝ち越される。試合終了間際に逆転を許した日本は、堂安に代えて浅野、守田に代えて細谷を投入したが、追いつくことはできず。優勝候補筆頭と言われながらも、準々決勝で大会をあとにすることになった。

取材◎佐藤景

▼出場メンバー
・日本◎GK鈴木彩艶、DF毎熊晟矢、板倉滉、冨安健洋、伊藤洋輝、MF遠藤航、守田英正(90+8分:細谷真大)、堂安律(90+8分:浅野拓磨)、久保建英(67分:三笘薫)、前田大然(67分:南野拓実)、FW上田綺世


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