上写真=PKを戦を4−2で制した韓国がサウジアラビアを破り、8強入りを決めた(写真◎Getty Images)
攻め手の乏しさと無駄な時間稼ぎと
前半から大声援をバックにサウアジアビアが優勢に試合を進めた。ポゼッションではほぼ互角だったが、デュエルの勝率ではサウジが韓国を圧倒。じわりじわりとゴールに近づくと、後半開始早々の46分についに均衡を破る。
ボックスの外でパスを受けたサレム・アル・ドサリのトラップが前方に流れたところに、アブドラ・ラディフが走り込み、そのままシュート。虚を突かれた格好になった韓国守備陣は対応がやや遅れてしまった。
1点を追いかける形になった韓国はその後、必死で前に出た。80分過ぎからは雨あられのようにシュートを放った。だが、GKアーメド・アル・カッサルが好セーブを連発し、DF陣も体を張った守りでゴールは許さない。アディショナルタイムのチョ・ギュソンのヘッドはクロスバーを直撃し、フリーで打たれたファン・ヒチャンのシュートはまたもアル・カッサルがストップした。
終盤、防戦一方となったサウジアラビアはそれでも集中力を切らさず、ゴール前では何度も身を投げだし、シュートをブロックした。耐えに耐えていたが、あまりにも自陣ゴール前で相手をフリーにし過ぎていた。
90+9分、ついに韓国がゴールをこじ開ける。左サイドでソル・ヨンウのヘッドでの折り返しを不振にあえいでいたチョ・ギュソンが頭でプッシュ。大きく振られる形になり、それまでビッグセーブを連発していたアル・カッサルも防ぎ切れなかった。
サウジアラビアはボールがラインを割るたび、ゲームが止まるたびに時間稼ぎを繰り返したが、今大会はしっかりアディショナルタイムを取るため、ほとんど効果がなかったと言っていい。長いアディショナルタイムに失点したのは何とも皮肉な結果だった。
試合は延長戦に突入し、韓国がセットプレーから何度もチャンスをつかむ。しかしネットは揺れず、延長後半には前に飛び出したアル・カッサルがボールをこぼしたところをボックス内でチョ・ギュソンが拾って無人のゴールへ…となるところでも、より確実に狙おうとしたためかイ・ガンインへパス。コースがなかったイ・ガンインが折り返したところをソン・フンミンがダイレクトで狙ったが、チョ・ギュソンと重なり、シュートは中途半端なものとなった。韓国にとって『押せ押せの時間』が何度も訪れたが、結局勝ち越すことはできなかった。
延長戦でも決着はつかず、勝敗はPK戦に委ねられることになった。先行のサウジアラビアが2本を失敗したのに対し、韓国は4人全員が成功。終盤の勢いをそのまま持ち込んだ形になった。
試合開始直後こそサウジアラビアの圧力に苦しんだ韓国だが、後半アディショナルタイムに粘り強く追いつくと、その勢いを駆ってPK戦も制し、準々決勝進出を決めた。総合力の差が最後に出た試合だった。