上写真=インドネシア戦に先発し、69分までプレーした旗手怜央(写真◎Getty Images)
ポイントだった試合の入り方に成功
意識していたのは、試合の入りだ。それはこれまでの2試合で入り方に失敗し、チームが劣勢になったからだ。インドネシア戦に先発し、左インサイドハーフとボランチのポジションを行き来しながらボールを循環させ、ゲームの流れをつくった。
「ここ2試合とも入りが悪かったんで、まずはそこの入りから。自分たちから守備でも仕掛けていこうという話をして、それで(最初の)15分圧倒できた中で、そのまま続けていこうという感じになりました。前半を通してそれができたのは良かったし、後半もそのままの流れでいけたのは、すごく良かったのかなと思います」
インドネシア戦前の取材の中でも旗手は高い位置からの積極守備について言及していた。スタートから相手にしっかり圧力をかけ、主導権を握ることが試合のすう勢を決めると考えるからだ。
今回の試合でも、その姿勢が見えた。指揮官によれば初期設定は4−2−3−1システムだったが、旗手は高い位置からボールを奪いにいき、多くの時間で形は4−3−3(4−1−4−1)になった。
6分、右サイドの堂安律がカットインしてから縦に出したパスを上田綺世がボックス右で収め、相手CBに倒されてPKを獲得。これを上田が自ら沈めると日本は早々にリードを奪った。
「僕個人的に言うとやっぱり守りに入るとやっぱり、アジアの大会でもスキは作られちゃうんで、スキを作らせないために自分たちから仕掛けていくっていう判断はすごく良かったのかなと、今日の試合に限っては思います」
理想通りの立ち上がりは積極姿勢によって実現した。旗手の前を意識したプレーは効き目十分。果たして日本は優位に試合を進め、3−1で勝利を飾った。
「受け手だけじゃなくて走るっていうところも自分の中で良さだと思ってるんで、そういったところでニアゾーンに走っていく、そこを走っていくことによって、次の選手がもらえたり僕がもらえたりってのがある。僕の個人的なプレーで言うと、すごく自分が持ってるものは出せたのかなと思います」
旗手は69分で南野拓実と交代し、ピッチを退いた。チームに積極性をもたらし、ボールの循環とチャンスの構築に寄与し、求められた役割を十分に全うしたと言っていい。
1戦目、2戦目に比べてポジティブな手応えを得たチームはラウンド16に進出決定。相手は25日に行われる試合の結果次第だが、グループEの1位と対戦することになる。現状1位のヨルダンか、2位の韓国か、はたまた3位のバーレーンか。
いずれにせよ、勝たなければその時点で日本のアジア制覇の道は途絶える。次戦も旗手の働きに期待がかかる。
取材・文◎佐藤景