上写真=トレーニングする鈴木彩艶(写真◎佐藤景)
何個か防げるポイントがあった
セットプレーから失点したベトナム戦については、すでに課題をあぶり出し、修正に努めている。鈴木は「個人的な」ミスついてもしっかり受け止め、同じプレーを繰り返さないように問題点を把握。個人的にも、チーム全体でも振り返ったという。
ベトナム戦の2失点目。相手のFKの場面。ファーサイドに送られたボールをヘディングで叩きつけられた。鈴木は反応し、ボールをはじき出したものの、こぼれ球を素早くファム・トゥアン・ハイに押し込まれた。明らかにデザインされたベトナムのプレーだった。
「あの場面、自分としては何個が防げるポイントがあったと思っています。ポジショニング? いえ、最初のポジショニングは悪くなかったと思います。低すぎると逆に前にこぼれたときにいけなくなっちゃうので、あのポジションは悪くなかったですけど、シュートを打たれた後の体重の移動であったり、クロスステップで後ろにいくのか、前にいくのか、逆にしないのか、あとはキャッチングをどの方向でするのか、手の出し方も含めてキーパーにしかわからないことが詰まっていました。そこは自分で何度もあのシーンを見返して、『こうすればよかった』と、しっかり反省できました。その点はポジティブにとらえていて、次のゲームに生かしたいと思います」
ベクトルを内側に向け、自ら考え抜くことで答えを導くことができたという。すでに気持ちは前向きだ。
そして前を向く過程では、今大会のキーパーチームからのサポートも得ている。「いろいろアドバイスをもらった」と鈴木は言った。
「自分がいろいろ経験してきた大会の中で、ピッチに立つキーパーは1人ですけど、自分もこれまで裏に回る大会が多かったし、そういう選手の振る舞いを見ていましたし、サポートの大切さを知っているので、こういう大会はやっぱりキーパーが一丸となって、練習から取り組むこと、そして試合には全員が出てる気持ちで取り組むことが本当に大事だと思います。今回は本当にサポートしていただいているし、ゴールキーパー全員に感謝しかないです」
前川黛也、野澤大志ブランドン、そしてトレーニングパートナーの中村圭佑(静岡学園)。アジアを制覇に続く道を、2戦目イラク戦以降も4人で歩んでいく。
「(イラクは)シリアに似てるような。ワールドカップ予選で対戦したシリアと似てるような戦い方で、カウンターであったりとか、ロングボールを使ってくる。あとはセットプレー。そこは準備していきたい」
17日の練習では迎え風の中、GK陣がキックの練習を繰り返していた。鈴木は低く鋭いボールを何度も供給。イラク戦で連勝を達成すべく、着々と準備を進めていた。
取材◎佐藤景