上写真=13日にカナダ代表と対戦する日本代表の先発予想布陣
疲労を考慮しつつ選手を試す機会に
13日、日本代表はカナダ代表と新潟で対戦する。相手は昨年のカタールW杯直前にも試合している国だが(日本が1-2で敗戦)、最近、監督が交代したばかり。今回がマウロ・ビエロ新監督の初陣になる。
そのため事前の情報データはほとんどなく、前日会見で森保一監督も「(相手は)監督が代わって初戦なので、どういう形で戦ってくるかわかりませんが、基本は4-1-4-1でスタートかなとは思っています」とコメント。「相手との噛み合わせを考えて(4-2-3-1か4-1-4-1か)両方を使えるようにと、これまでもやってきた通りに、3バックも含めて状況に応じて試合を進められるようにできれば」と説明し、柔軟に対応していく心構えで臨むとした。
さて、そんな『読むのが難しい』相手に対して、日本はどんなメンバーで臨むのか。ここで予想してみたい。
まずGK。10月シリーズ初戦の大迫敬介が務めるのではないか。今回、鈴木彩艶(STVV)と前川黛也(神戸)を招集していたが、2日前の練習で前川が負傷。代わって小島亨介(新潟)が急きょ、合流することになった。
ベルギーのSTVV所属の鈴木がリーグ戦を戦い、帰国したの10日(火曜日)の夕方。中2日で臨むハードなスケジュールとなることと、A代表で久々の試合となる点を考慮すれば、ピッチに立つのは代表活動を数日経験してから臨める来週18日のチュニジア戦か。小島も同様で前日に緊急招集していきなり試合に臨むとは考えにくい。これらの事情を踏まえ、9月のドイツ戦でプレーし、すでに信頼も厚い大迫がここはゴールマウスに立つとみる。
DFは4バックで、右から毎熊晟矢、谷口彰悟、町田浩樹、中山雄太とした。前提として今回の10月シリーズの2試合も9月シリーズの2試合と同様に、大きくメンバーを変えて臨むと予想する。
9月シリーズはドイツ戦から中2日でトルコ戦が行われたという事情もあり、大幅にメンバーを変えて多くの選手を試すことができた。今回は中3日で試合が行われるため前回とは少し事情が違うが、11月からW杯予選が始まり、以降は最終予選まで公式戦が続くことになる。文字通りのテストマッチとして選手を試せる貴重な機会であることを考えれば、10月シリーズもできる限り選手を試すのではないか。
また、10月シリーズに対戦するカナダとチュニジアの実力については、新たに立ち上げたばかりで新監督の初陣であるカナダの方がやや劣ると見られる。9月シリーズで言えば、カナダ戦がトルコ戦の位置付けとも言え、これまで出場機会が限られていた選手や代表歴の浅い選手にプレー機会を与える試合になると考えられる。
その意味からも3月からコンスタントに出場機会を得ている菅原由勢ではなく、先発するのはまだまだ『試したい』毎熊か、橋岡だろう。その上で毎熊としたのは、C大阪所属の国内組で今回の活動では初日から参加している点が大きい。鈴木と同じSTVV所属で試合2日前に帰国したばかりの橋岡よりもコンディションがいいと思われるからだ。相手の左サイドには強力な突破力を備えるアルフォンソ・デイビスがおり、守備面を考えれば、自ら「守備で違いを見せたい」と語っていた橋岡が先発する可能性も、もちろんある。ただ、海外勢との対戦における毎熊の守備力を見極めるとの考えもあり、先発は毎熊が務め、途中から橋岡と予想した。
ディフェンスラインの中央に立つのは谷口と町田と予想する。トルコ戦のCBコンビが今回も引き続き、先発するのではないか。ドイツ戦で実現した板倉滉&冨安健洋の2CBについては次戦のチュニジア戦でプレーすると読む。むろん、板倉&町田、谷口&冨安というように9月シリーズで組まなかった組み合わせを試すという考え方もあるが、板倉&冨安も谷口&町田も前回が初めてのコンビ結成であり、今回も引き続きコンビネーションを深める機会として同じコンビで活用するように思う。
左サイドバックは久々に代表に戻ってきた中山雄太だ。伊藤洋輝は腰を痛め、前日練習にも姿を表さなかった。中山がプレー機会を得るだろう。
続いて中盤。前述の通り、指揮官はカナダ戦で4-1-4-1を採用すると示唆したが、中盤の中央を構成するアンカー+2インサイドハーフの候補者となるのは、現状7人だろう。まずアンカー候補に遠藤航、守田英正、伊藤敦樹、田中碧、それに加えてインサイドハーフの候補者となるのは旗手怜央、南野拓実、川辺駿になる。
予想は難しいが、アンカーは田中、左インサイドハーフに旗手、右インサイドハーフが伊藤敦とした。アンカーの田中と右インサイドハーフの伊藤敦はポジションが入れ替わるかもしれない。トルコ戦で組んだボランチコンビが再び中盤を構成し、そこにケガのため前回シリーズに参加できなかった旗手を加える形になるのではないか。
9月のトルコ戦では相手の左サイドが弱いという分析がチームにあり、日本は右肩上がりの攻めを展開した。田中がアンカーのようにバランスをとる形で、伊藤敦が右サイドバックの毎熊と連係しながら積極的に前に出てインサイドハーフのように振る舞う時間が長かった。カナダ戦でも同様のコンビネーションを駆使することになるかもしれない。
これまでアンカーを務めてきた遠藤と守田はともに10日(火)に帰国してチームに合流しており、遠藤が日曜日の試合で出場機会がなかったのに対し、守田は同日の試合にフル出場。10日の帰国も遠藤は午前中だったが、守田は夕方。疲労とこれらの状況を考慮すると、遠藤がカナダ戦に先発する可能性もあるかもしれないが、守田はやはり難しいのではないか。
一方で旗手は4-1-4-1で臨んだ6月シリーズでエルサルバドル戦、ペルー戦とともに先発し、前線との連動やボックス内への飛び込みにおいて、他のインサイドハーフとは異なる魅力を示した。今回は南野も選出されているため、カナダ戦で南野を起用する可能性もありそうだが、周囲と好連係を築いた6月シリーズに続き、再びスタートから旗手がピッチに立つのではないか。
両翼は右が久保建英、左は中村敬斗になりそうだ。森保監督は前日会見の中で、体調不良で今回の活動に不参加となった三笘薫について聞かれ、同選手が主に務めてきた左サイドに関しては、中村敬が候補者になると話している。左サイドは追加招集となった奥抜侃志も候補者たり得たが、帰国初日から発熱や倦怠感があり、チーム練習に参加できていない。新潟にも帯同しておらず、カナダ戦は欠場することになった。トルコ戦で2ゴールを決め、その力を示した中村敬が引き続き先発し、途中から南野に代わるという展開もあるかもしれない。
一方、右サイドについて指揮官はクラブで好調なプレーを見せる久保の名を挙げている。久保も9月のトルコ戦で先発しており、ほぼ同じメンバー構成の中で再びその力を示せるか、注目したい。代表の右サイドでこれまでその力を十二分に示してきた伊東純也はカナダ戦ではなく、チュニジア戦で先発すると思われる。
1トップは古橋亨梧。トルコ戦で先発しながら再三のチャンスを決めきれず、悔しさを口にしていたFWが先発する。上田綺世はチュニジア戦で先発を担い、代表でその実力を示してきた浅野拓磨は途中から、さらにチームを加速させる役割を担うことになると予想する。今回はケガや体調不良による不参加でそもそもウイングの数が少ない。浅野はサイドプレーヤーとして起用されることもありそうだ。
森保監督は今回も相手の出方に対応することを選手に求めており、試合中に4-1-4-1から4-2-3-1へ可変する可能性がある。その場合、中盤はインサイドハーフの一方が下がり、一方がトップ下に入ることになるが、そうした考え方も踏まえた上で先発を選ぶことになりそうだ。3バックの採用も含め、いずれにせよ、90分間同じ形で戦うことはないだろう。日本は状況に応じてフレキシブルにプレーしつつ、チームとしての向上と1年前のリベンジを目指す。
取材・文◎佐藤景