上写真=シーズン開幕から好調を維持する古橋亨梧。その勢いを代表にも持ち込めるか?(写真◎サッカーマガジン)
1点でも多くチームのために取れたら
古橋個人にとって今回のドイツ戦は『再戦』ではない。カタールW杯のメンバーに選ばれなかったため、世紀の大逆転を成し遂げた、あの試合は映像を通して見ることになった。だから古橋にとっては初対戦。
当然、あの場にいなかった悔しさはある。だが、それを糧にして古橋はより強く逞しくなった。昨季はセルティックで三冠達成の原動力となり、スコットランドリーグ得点王、リーグ年間最優秀選手賞(MVP)、スコットランドプロサッカー選手協会(SPFA)の年間最優秀選手賞と、個人賞を総なめにしたのだ。
「(カタールW杯では日本代表に)本当にいいものを見せてもらいましたし、すごく僕の中で刺激をもらいました。そこからまたひと段階、成長できたと思っています。(今回の活動では)それをしっかり2試合で表現をして、1点でも多くチームのために取れたらと思うし、もちろん得点だけじゃなくて守備でもチームを助けるように走って、勝つためにプレーできたらと思っています」
クラブで結果を残し、自信を深めて今、代表活動に臨んでいる。ドイツ戦に向けても強い思いを口にした。
「持ち味である背後の抜け出しを狙いながら、流れの中で相手の前でポストプレーすることもあるかもしれないし、ビルドアップに参加して、みんなと繋がって攻撃していくこともあるかもしれない。チャンスに抜け出すこともあると思うので、どれにも対応できるように準備できたらと思います」
あらゆるパターンを想定し、目指すのは日本の勝利のためにネット揺らすこと。クラブでの結果は代表活動に間違いなくつながるものだが、その一方で代表においても結果を出さなければ、次につながらないことを古橋はよく理解している。上田綺世も浅野拓磨も代表合流直前の試合でゴールを記録した。今、日本代表のFW陣は総じて好調で、つまりポジション争いが激しい。
「本当にいい選手がたくさんいます。まずはそうやって(好調だと)評価してもらえて僕たちはうれしいし、各々、本当にいいものを持ってる選手が多い中で、ピッチ上でみんな刺激し合ってできたらと思っています。最終的に決めるのは監督だと思うので、僕たちはいい準備をして試合に臨めたらと思います」
ドイツ戦は誰が前線で先発するか、まだわからない。合宿3日目に行われた6対6プラスフリーマンという練習メニューでは古橋、上田、浅野がフロントラインの中央に入っていた。先発するにせよ途中からにせよ、古橋がピッチに立つ可能性はもちろん、ある。
「こういう強豪国とやるときに、1点は重みがあると思う。どれだけチャンスが来るかわかんないですけど、そのチャンスを確実にものにできるようにしないといけないと思っています。しっかりといい準備をして、枠に入れることを意識してやっていきたい」
日本時間9日深夜にキックオフされるドイツ戦。古橋はリベンジに燃える相手からゴールを奪い、日本にはまだまだ強力なFWがいるということを示せるかーー。
取材◎佐藤 景