日本代表は15日に行われたエルサルバドル戦で6−0と快勝した。試合開始早々に相手に退場者が出て、優位に試合を進めることになったが、GK大迫敬介はその中で自分に与えられた役割を全うし、コンセプトをしっかり体現した選手の一人だろう。

上写真=エルサルバドル戦でしっかりアピールした大迫敬介(写真◎サッカーマガジン)

常に縦方向を意識したプレー

 エルサルバドル戦は相手が早々に退場者を出したこともあり、ほとんどピンチらしいピンチがなかった。それでも集中力を切らさず、唯一の危ない場面だった24分の相手FKも、鋭い反応でセーブ。

「楽しかったですね。久しぶりに代表のピッチに立てて、結果だけ見ると圧勝に見えますけど、非常に楽しい90分間でありました」

 試合翌日の取材対応で大迫は改めて充実の試合を振り返った。

 守備面での見せ場は限られたが、目を見張ったのはチームの4点目、堂安律のゴールにつながったプレーだ。守田英正が自陣でボールを回収してGKに戻したパスをダイレクトで前線へ。センターサークル内で構えていた上田綺世にボールを届けると、その上田がポスト役となって左サイドの三笘薫に展開。そこから三笘がドリブルで敵陣に切り込み、シュートを放つに至った。最後は相手GKが弾いたところを堂安がプッシュ。大迫はゴールの起点になった。

「自分自身も久しぶりのゲームでしたし、難しいプレーを選択するというよりは、その状況に応じて割り切った判断なのか、つなぐのかというところをはっきりしようというふうに思っていました。逆にトップに綺世くんという収める能力高い選手がいるので、そこも頭に入れながらどういうボールを放り込んだらいいのかっていうのは考えて、すり合わせもしていました」

 大迫によれば、試合前から上田とはプレーを確認し合っていたという。

「裏のスペースに落とすのか、綺世くんに競らせるボールなのか、どっちがいいのかは話し合っていました。そこがうまく綺世くんと合ったということです」「ゴールの起点になれたのはうれしいですし、偶然ではなく、試合前からのすり合わせが一つのきっかけになったのもうれしいです」

 守田のバックパスを前方にダイレクトで蹴ったことも、後ろ向きで待つ上田にしっかり届けたことも偶然ではない。現在の代表チームはビルドアップの向上に注力しているが、今シリーズでは縦に速く攻めることも強調されている。形やつなぎにこだわって、攻撃の大前提である「縦に行けるなら行く」という考えを放棄してはならないということだ。

 その点からしても大迫のプレーは価値あるものだった。前に体重をかけてきた相手をかわして、攻めに転じる第一歩となった。

「自分にとって本当に昨日(=エルサルバドル戦)は、大きな一歩になったと思います。ただ昨日のゲームだけじゃなくて、ここから先また、日本のゴールを守っていくために、1日1日の練習から自分を出さないといけない。下からの突き上げもあったり、自分自身も上を食っていかないといけないという思いが強い。そういった強い思いをピッチで表現したいと思います」

 今回のシリーズはGK3人を招集しており、なるべく多くの選手に出場機会を与えたいという指揮官の考えもあるため、次戦のペルー戦では出場機会がないかもしれない。ただ、エルサルバドル戦でコンセプトを体現し、安定したプレーをみせた大迫は、間違いなくアピールに成功したと言えるだろう。

取材◎佐藤 景


This article is a sponsored article by
''.