上写真=CBとして先発フル出場を果たした瀬古歩夢(写真◎Getty Images)
■2023年3月24日 キリンチャレンジカップ(観衆61,855人/@国立競技場)
日本 1-1 ウルグアイ
得点:(日)西村拓真
(ウ)フェデリコ・バルベルデ
「きょうが僕にとっては第一歩」
第2次森保ジャパンの初陣。先発メンバーに抜擢された22歳はA代表のデビュー戦でも緊張で硬くなることもなく、わくわくしながらピッチに入っていた。立ち上がりから最終ラインでボールを持っても、慌てずに丁寧にパスを出していた。背後に蹴られたボールも冷静に対処。安易にタッチラインに逃げず、確実に味方につないだ。
「ビルドアップは自分の特徴。何度か、見せることはできたと思います」
後半には見せ場をしっかりつくった。1点を追う後半の75分、ウルグアイのプレスをうまく回避し、右サイドの菅原由勢へ展開。日本の同点ゴールは、ここから始まっていた。
守備ではスピードを生かしたカバーリングが目を引いた。前半26分は味方のミスをスライディングでカットし、ペナルティーエリア内でも果敢に肩をぶつけてピンチを防いだ。
「常にカバーする意識は持っていました。結果的に失点を防ぐことにもつながっていたのは良かったです」
ただ、本人にとっては課題も多く出た試合だったようだ。1対1の局面で相手に負けるシーンを頭に浮かべ、厳しい表情も見せた。
「(試合を通すと)正直、個人的には満足していません。やられる場面もありましたので。ディフェンダーとしては、潰せるところで潰さないといけない。短期間で解決できるものではないので、徐々に高めていきたい」
2026年ワールドカップに向けて、新生・日本代表の新たなポジション争いは始まったばかり。10年以上、日本代表のCBとして君臨してきた吉田麻也が不在のなかでまずまずのスタートを切った。
「きょうが僕にとっては第一歩。これからもっとアピールしていきたい。すぐに麻也くんを超えることはできないですが、今後、そうなっていけばいいのかなと」
日本代表では何度も悔しさを味わってきた。21年の東京五輪はメンバーに選出されながら出場機会はなし。同年12月、その翌年の9月にもA代表に招集されたものの、デビューはお預け。それでも、前を向いて、努力を重ね、ようやく大きな壁を乗り越えた。
「やっと土俵に立てました」
1年半越しで初キャップを刻んだ男の言葉には実感がこもっていた。
取材◎杉園昌之