上写真=長友佑都は今大会、全4試合に先発して豊富な経験と前向きなキャラクターでチームを引っ張った(写真◎Getty Images)
■2022年12月5日 カタールW杯 ラウンド16(アル・ジャノブ)
日本 1-1(PK1-3)クロアチア
得点者:(日)前田大然
(ク)イバン・ペリシッチ
「必ず彼らがこの先に生かしてくれる」
いつも快活な長友佑都が、悄然とするのも仕方がない。12月5日、カタール・ワールドカップのラウンド16でクロアチアに1-1からPK戦に突入し、1-3で敗れて、またしてもベスト8に名乗りをあげることはできなかった。長友自身が前日に「自分が見てきた中で最強」と胸を張った素晴らしいチームをもってしても、歴史をつくることはできなかった。
「なかなか言葉が出てこないですけど、一生懸命最後まで戦った後輩たちと勇気を持ってPKを蹴った選手たちを称えてほしいなと思います」
遠藤航によれば、PKは「蹴りたい人が蹴った」という。南野拓実、三笘薫が止められ、浅野拓磨は決めたものの、吉田麻也もストップされた。勇気を持って名乗り出た仲間たちを、長友は誇らしげに称えた。
4度目のワールドカップとなった長友は、全4試合に先発出場。いずれも早い時間の交代となったものの、「いい守備からいい攻撃へ」を体現する存在として、4バックでは左サイドバックに、3バックでは左ウイングバックで奮闘した。キックオフから落ち着いて戦って、最小失点に抑えながら試合を進めるミッションを遂行した。特に長友が粘り強く戦ってあとを三笘薫につなぐパターンは、いわば日本の勝利の方程式になった。
「この悔しさは、必ず彼らがこの先の日本サッカーに生かしてくれると思いますし、必ず次につなげてくれると思います」
後輩たちに思いを託すような言葉で、未来を語る。初のベスト8には届かなかったものの、かつてのチャンピオンであるドイツにもスペインにも逆転で勝ったし、前回準優勝のクロアチアにもスコアの上では引き分けなのだ。PK戦の敗退によって、確かな手応えまで消えてなくなるわけではない。
「日本人の魂、戦う魂は見せられたと思うし、負けてしまって残念ですけど、日本サッカーは確実に成長しているなと感じています」
そして、その礎にあるのがJリーグであることを強調した。かつて、日本が初めてのワールドカップ出場を決めたフランス大会アジア予選の第3代表決定戦に勝った直後に、中田英寿が口にしたのと同じように。長友自身もヨーロッパから戻ってFC東京で戦い、鍛え、そして世界と渡り合った。
「このメンバーにはJリーグでプレーしている選手もいますし、Jリーグで育って海外でプレーしている選手たちです。これから日本サッカーの発展のためにもJリーグをもっと盛り上げていかないといけないと思います。みなさんがお住まいの地域にJリーグのチームがあると思うので、この勝利のために、ワンプレーのために努力している選手たちを応援してもらいたいと思います」
もっともっと強くなるために。残念ながら届かなかった目標を見上げるからこそ、足元を見据えるのだった。