東京五輪組+αの陣容
中盤は、2ボランチを遠藤航と田中碧のコンビが務めると考える。2人は東京五輪でコンビを組み、今年6月のブラジル戦では4-3-3の中盤を形成したた。長い時間、失点せずに0-0でゲームを運んだ同試合について、指揮官は理想のプレーが実現できたとこれまで何度も引き合いに出し、手応えを口にしていた。2人でうまくゲームをコントロールしながらドイツに対して失点せずにゲームを進め、数が限られるであろうチャンスをモノにしたいと考えているはずだ。
2列目は、右から伊東純也、鎌田大地、久保建英を並べた。9月のアメリカ戦で躍動した3人に、その再現を託す。とくに攻撃的なサイドバックのラウムとマッチアップする伊東は、背後を取る動きで高い位置に起点を作り、チャンスを広げることが求められる。伊東が送る右からのクロスを仕留めるのが、鎌田と久保の役目だ。高い決定力を誇る鎌田、モビリティーに優れる久保には仕掛けに加え、周囲の選手と絡みながらゴールを生む働きが期待される。
そして1トップは前田大然だ。一度、相手に外されても二度追い三度追いでプレッシャーをかけられるFWは日本の武器だ。相手はGKノイアーも使ってビルドアップを試みるが、前田がしっかりプレッシャーをかけて自由なパス回しを封じ、高い位置でのボール奪取からゴールを狙う形を実践したい。
森保監督は前述の前日会見で「スタートメンバーですけど、そこは明日の試合を楽しみに待っていただければ。われわれが勝利を目指して戦う上でベストなメンバーを選んで試合に臨みたいと思います。また、鎌田をはじめとする、今回選出している多くの選手たちが、ブンデスリーガ1部で7人、2部で1人プレーしている選手がいる中で、彼らが普段世界のトップトップのリーグの中で培ってきているものを明日の試合でも自信を持って発揮してもらえれば」とメンバー選考のスタンスを説明した。
東京五輪という世界大会を経験したメンバーに、ドイツを知る選手たちも加えた陣容で初戦に臨む。むろん、勝ち点をつかむのは簡単ではないが、森保監督はこう言い切っている。
「われわれがこれまでやってきた、いい守備からいい攻撃に、ということはまさにこのワールドカップで勝つために絶対的に必要なことだと思って、これまでずっと積み上げて準備してきました。攻勢に出られるのか守勢になるのか、いろいろあるとは思いますが、全ての流れの中でわれわれが、どんな流れになっても自分たちが何をしなければいけないかを考えて、粘り強く我慢強く戦うことは準備しておかなければならないと思います」
サウジアラビアがアルゼンチンを破って世界を驚かせたおよそ24時間後。今度は日本が、同じアジアの国として世界を驚かすことになるかーー。
取材◎佐藤景