日本代表は14日、チュニジアと対戦し、0-3で完敗を喫した。結果的に3失点に絡むことになった吉田麻也はこの敗戦を教訓にしたいと語り、メンバー入りへの危機感も口にした。本大会までの残り5カ月でチームは課題を克服し、成長できるか?

上写真=結果的に3失点に絡むことになった吉田麻也(写真◎JMPA毛受亮介)

■2022年6月14日、キリンカップサッカー2022(@パナスタ/観衆:31,292人)
日本 0-3 チュニジア
得点:(チ)モハメド・アリ・ベン・ロムダン、フェルジャニ・サシ、イサム・ジェバリ

チュニジアの監督が指摘した日本の弱み

 W杯は甘くない。そのことを改めて痛感する試合になった。チュニジア相手に0-3の完敗。吉田は直接的、間接的にそのすべての失点に絡むことになってしまった。

 1失点目は55分。吉田が与えたPKを相手に決められた。伊藤洋輝が相手のフィードに対してチャレンジしてエアバトルを挑んだが、クリアし切れず、自陣左サイドで入れ替わられた。ボールをスリマンに収められた。日本守備陣が左へと重心を移す中、スリマンは吉田の背後を狙うように早いタイミングでクロスを入れてきた。

 そのボールがケニシに渡ってしまう。吉田は後方からスライディングを仕掛け、倒してしまった。接触の瞬間、足をたたんだが、相手に先手、先手を取られる中でのプレーであり、無理なスライディングになったのは確か。PKを宣告された。ボックス内の選択としては、どうだったのか。

「シンプルに僕の個人的なミスかなと思います。入れ替わった時に強いて言えばもう少しスライドしないといけなかったかなと思いますけど、それを考慮しても滑ってはいけないと。あれで試合を壊してしまったのは間違いない。重々承知しています」

 本人は試合を壊したと振り返った。そのPKをロムダンに決められて先行を許した後、日本は「壊れかけた」試合を修復にかかった。だが、追いつくことは出来ず、逆に引き離されることになる。

 GKのロングボールからボックス内にボールを落とされ、背走した吉田と板倉の間をムサクニに割って入られる。この日先発したGKシュミット・ダニエルとの意思の疎通の問題か、処理を譲り合う形になると、相手にボールを奪われてクロスを許した。最後はサシに決められてしまった。

 3失点目は鮮やかなミドルだった。吉田の展開したパスが三笘薫に届かず、相手につっかけられる。そのまま中央を運ばれ、ジェバリに叩き込まれた。

「非常に良いチームだったと思います。前半の守備力も高くて、ボールを持たせてもらいましたけど、アフリカ予選でもブロックを固めてカウンターを武器にしていた。前半で仕留められなかったからこそ、後半拮抗している時に我慢しないといけなかった。もちろん自分のミスもあるし、ミスからの失点が恐らく4試合全てで出てしまっている。課題は明確かなと。監督も言っていたが、ビルドアップは絶対に日本には必要だし、持てるところで持たないと勝てない。そこのところのミスをどれだけ無くすか。一つのミスが起きた時に二つ目、三つ目が起きないようにみんなでカバーし合わないといけないと思います」

 日本が選手の組み合わせを試し、その中でビルドアップできるかどうかにトライしていたことは間違いない。ただ、この日は収穫よりも課題の方が目に付いた。ミスが連続し、失点後に立て直しもままならなかった。これは6月シリーズを通して言えることだが、失点はビルドアップがひっかかった際に生まれている。問題がどこに生じているのかを認識する必要があるだろう。相手に構えられた際に最終ラインと中盤のパス交換などで、相手の視点や守備ポイントをずらすようなプレーはまだまだ少ない。結果、ブロックに差し込む効果的なパスも限られ、無理なパスを奪われてしまう。この日のプレーに限れば、相手の守備が良かった面はあるにせよ、CBと中盤の呼吸が合わず、組み立てに苦しんだ。

 吉田は自戒を込めて、言った。

「今日に限らずですけど、全体を見ることと自分のプレーやパフォーマンスを向上させること、二つのタスクがあることはキャプテンになってからずっと担ってきた。もちろん周りを気にしつつ、自分がパフォーマンスをしっかりしないといけない。そのことは何度もコメントもしているが、ここにいる価値は自分のパフォーマンスでしか示せない。良いコメントを残そうが、良いアクションをしようが、サッカー選手なのでピッチ内のパフォーマンスが大事なのは肝に銘じている。それが今日はできなかった」

 メンバー入りへの危機感も口にした。

「監督からの信頼は感じますけど、積み上げていくのは大変なこと。サッカーではワンプレーで人生が変わるし、信頼を失ってしまうと理解している。ここから9月に向けて、なるべく早く良いチームで試合に出てコンディションを上げないと、自分自身のポジションがなくなるのは理解している。ワールドカップ直前だからではなく、代表に入って2012年の時からずっとやっていること。続けていくだけです」

 相手は日本を研究し、ウイークポイントを突いてきた。チュニジアのジャレル・カドリ監督が試合後にそのポイントを明かしている。

「(日本は)時間が過ぎるとスペースができるので、そこを突くことを心がけて試合をした」

「中盤で非常に速いボール回しができるが、それを許してはならないので、スペースを与えないということに留意した」

「もし日本に弱点があるとすれば、それは守備。ディフェンスは難しい状況に置かれるとミスをする。なので、特にボールをディフェンスラインの裏に突くことに注力した」

 W杯本大会で対戦する相手はこの日のチュニジアよりもレベルは上だろう。この完敗を、チームのレベルアップに生かすことができるか。

「チュニジアの試合を見ると、ほとんどロングボールで背後を突くことが多いと思いますけど、フィジカル的に優れているなと思いました。前半から球際も強いし、プレスも激しいなと。恐らく(W杯の)2戦目、コスタリカにしてもニュージランドにしてもこういう試合になると思うので、この試合を教訓にしないと。課題が明確なぶん、ここを突き詰めないといけない(※14日深夜のプレーオフの結果、コスタリカに決定)」

 吉田は教訓にしたいと話した。W杯本大会まで、あと5カ月あまり。欧州組を組み込んだ形で活動できるのは、9月と大会直前の10日間程度か。いずれにせよ、残された時間はそれほど多くはないーー。


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