日本代表は10日、キリンカップサッカー2022でガーナ代表と対戦し、4-1で勝利を飾った。相手を突き放す、チームの3点目をスコアしたのが、久保建英だ。攻守にアグレッシブな姿勢をピッチで示し、A代表初ゴールを決めた久保を、森保一監督も高く評価。序列を変える活躍を継続できるか?

上写真=ガーナ戦でゴールを決めて久保建英は小さく拳を握った(写真◎JMPA早浪章弘)

自分にプレッシャーをかけながら戦っている(森保監督)

 10日のガーナ戦で、久保建英はA代表初ゴールを決めた。2019年6月9日のキリンチャレンジカップ・エルサルバドル戦でA代表デビューを飾ってから3年。ようやく待望のゴールを挙げた。

「他の人からしたらもっと早く決めるチャンスがあっただろうと思っていると思います。でも17試合目で1ゴールですけど、これで終わったときにいっぱい取っていればいいと。とりあえずゼロと言われることがなくなったので、ここからどんどん追いつけ追い越せで、さっき何人かの選手に何点取っているかをロッカールームで聞きましたけど、そこを狙っていければいいかなと思います」

 これまでの時間は生みの苦しみ、ということになるだろうか。ガーナ戦翌日の取材の中で、これから固め打ちもあるのでは? と問われ、「逆に1点を取るまでは長いっていう言い方もできるかもしれないですが、そこはもう、皆さんの見方次第だと思います。確かにその1点のあとで続くっていうのは代表での僕にはあるので、次チャンスがあれば、またしっかりやっていって、多分、気持ちが吹っ切れてるので、いつもの正確性も出てくると思うし、固め打ちと言っていましたけど、それができるようにしたいと思います」と、自信を口にした。

 代表チームにおける久保はまだ絶対の存在ではない。チームのベースである4-3-3システムでの序列を推察するなら、右ウイングでは伊東純也、堂安律に続く三番手、左ウイングでも南野拓実、三笘薫に三番手といったところだろうか。そしてガーナ戦でプレーしたインサイドハーフでもまだ、田中碧、守田英正、鎌田大地、原口元気、柴崎岳に次ぐ存在かもしれない。4-2-3-1のトップ下にしても鎌田大地や南野拓実の方が現状ではプライオリティーが高いだろう。こうした状況を、久保はここから一つひとつ変えていかなくてはならない。

 2日のパラグアイ戦は71分から途中出場、6日のブラジル戦では最後まで出番が訪れなかった。「正直、めちゃくちゃきつかった。(ブラジル戦は)何で出してくれないんだよと思っていた。僕だけではないと思うけれど、出たらもっとやれていたと思う。でも、試合に出ていない僕が言ったところで負け惜しみ。練習から自分はやれることをやっていこうと気合は入っていた。そういうところで運も味方してくれたのかなと思います」。ガーナ戦の90分間、久保は意欲的にプレーし、球際でも戦った。パラグアイ戦は「焦りが出た」と振り返ったものの、ガーナ戦は先発だったこともあり、リズムをつかみ、そして一つの結果を出した。

 ただ、これで序列が覆ったかと言えば、そうではないだろう。ようやくポジション争いのスタートが切れたところだろうか。ガーナ戦の試合後、森保一監督は結果を出した久保について、次のように評価した。

「彼もこの代表に生き残れるかどうかというところで、自分に自分でプレッシャーをかけながら、生き残りをかけて戦っている。そのメンタル的なところが今日は出ていたと思います。個の力で何とかしようというところはこれまで同様アグレッシブにやりながらも、チームの戦い方の中で攻守ともに献身的に連係・連動を使い分けながら戦っていた。それが結果につながったと思っています」

 日々の努力が実ったと指揮官は指摘。その上で、久保の現状に言及し、さらなる成長も求めた。

「個で崩すのと周りのサポートを使いながら崩すという選択肢を相手に持たせながら、的を絞らせない攻撃がよかったと思います。個人の力を出せて、チームとしても非常にいい機能性だったと思っていますし、守備の部分ではパラグアイ戦のときは1対1の部分で少し強度が出せなかったり、あるいはこぼれ球の反応が遅れたりする場面もありましたが、自分の責任の中で局面で相手に食らいついていく、そしてしぶとく、後手を踏んでも食らいついていく部分でのトライがすごくよかった」

 ガーナ戦は周囲の選手たちを使い、そして使われながらチームの攻撃をクリエイトした。ただ指揮官の言葉にあるように、現在進行形で「生き残りをかけて戦っている」状況だ。まだ、生き残ったわけでも、生き残れなかったわけでもない。

 ベストメンバーで臨んだブラジル戦に出番がなかったことが現時点の久保の評価かもしれない。それでも与えられたチャンスで、一つ結果を出してみせた。6月シリーズは14日のチュニジア戦を残しており、9月にも代表活動がある。所属クラブで活躍することも含め、すべては、ここから。

 さらに大きく成長し、存在感を高めれば、必然的に代表の序列にも影響を及ぼすはずだ。先日の囲み取材の際に、久保自身が言っていた。「3カ月もあれば人は変われる」とーー。


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