上写真=突破力を示し、チームの2点目をスコアした三笘薫(写真◎JMPA早浪章弘)
■2022年6月10日、キリンカップサッカー2022(@ノエビアS/観25,100人)
日本 4-1 ガーナ
得点:(日)山根視来、三笘薫、久保建英、前田大然
(ガ)ジョーダン・アユー
誰が出ても勝つ、誰が出ても機能するように(森保監督)
日本は吉田と遠藤を除き、ブラジル戦から9人先発を入れ替えてガーナ戦に臨んだ。センターフォワードの上田、右インサイドハーフの久保は今シリーズ初先発。本大会でメンバー入りを目指す選手たちにとっては、訪れたチャンスをしっかりつかみたいところだった。
序盤から押し気味に試合を進めた日本は29分にコンビネーションから先制ゴールを挙げる。攻撃をサポートする山根が右の堂安にパス。堂安から久保につなぎ、堂安、山根とパス交換。サイドに開いた久保が再び受け取り、内側にポジションを取った堂安に横パス。すると、一連の流れの中でボックス内へ移動していた山根にダイレクトでパスを通す。攻めに特長を持つ右サイドバックは、迷わず左足を振り抜き、ネットを揺らした。
日本は得点にはつながらなかったものの、20分過ぎには左サイドで流麗なコンビネーションを披露していた。伊藤、三笘、堂安、柴崎が絡んで堂安のシュートを導き、こぼれ球を拾った柴崎のクロスを上田がヘッドで狙った。
初めて組む選手もいる中で、何度か呼吸を合わせて攻撃の形を生み出した。もちろん相手のコンディション、レベルも問題あったが、連係からシュートにつなげるシーンが見られた。
一方で不要なミスも散見した。失点場面はまさにそれ。GKへのバックパスの流れから自陣右サイドの深い位置でボールを引き取った山根だったが、誰もいないバイタルエリアにパス。アントウィアジェにカットされると、最後はジョーダン・アユーにボックスの外から蹴り込まれた。
ミスがらみの失点で追いつかれた日本はしかし、すぐに顔を上げてギアを入れ直す。すると前半のアディショナルタイムにカットインから三笘がゴール前に送ったクロスがそのままゴールイン。飛び込んだ上田と堂安には合わなかったものの、相手GKが前に出られず、DFが対応できない場所へ送ったクロスの質が高かった。
2-1で折り返した日本は、やや攻撃姿勢を強めた相手に対して、常に先手を取っていく。73分、三笘が左サイドを攻略して送ったクロスを、走り込んだ久保が左足で決めて相手を突き放す。久保にとってはついに生まれたA代表初ゴール。前半からゴールに向かう姿勢を示していたが、ようやく目に見える形で結果を残した。
82分に途中出場の伊東が突破をはかり、ボックス内右からシュートを放つと最後はスライディングで飛び込んだ前田が触ってチームの4点目をスコア。前田もこの得点がA代表初ゴールだった。さらに日本は85分に山根に代えて中山を投入。板倉、谷口、伊藤で3バックを構成し、右ウイングバックに伊東、左ウイングバックに中山が入り、時間が短いながらも3バックを試した(3-4-2-1)。
今シリーズを戦う上で森保一監督は、コンセプトの浸透・確認、選手の積極起用、戦い方のオプションを手にすることをテーマとしていたが、ガーナ戦でもパラグアイ戦、ブラジル戦に引き続き、多くのトライを行なった。
「ホームで連敗できないということで選手たちが良い準備をしてくれて、メンバーが替わった中で良いトライをしてくれた。誰が出ても勝つ、誰が出てもチームが機能するということを選手たちが、意思を持ってトライしてくれました。W杯に出場するガーナとの対戦で多くの選手を試せましたし、システム的にもグループ戦術のところで色んな選手と組み合わせながら戦っていくということを選手たちが見せてくれた。かつ、結果を出すというところで選手たちがトライしてくれました」
森保監督も多くの収穫があったと試合を振り返った。東京五輪でともにプレーした堂安と久保の息の合った連係は健在で、堂安と山根、そして三笘と伊藤の縦関係がパラグアイ戦よりも機能していた。谷口と板倉のCBコンビも2月の代表戦で見せたように安定感を感じさせた。3バックの採用については時間が短かったために判断材料は少ないが、チームとしてオプションを手にする意欲があることは確認できた。
ここまでW杯のシミュレーションとして同様の試合間隔で戦ってきたが、これで2勝1敗。6月シリーズもいよいよ14日のチュニジア戦を残すのみとなった。3勝目を挙げ、いい形で締めくくりたいところだ。