日本代表は24日、FIFAワールドカップ・アジア最終予選の第9節、オーストラリア戦に臨んだ。勝てば2位以内が確定し、本大会行きが決まる運命の一戦。日本は攻めながらもなかなか点を奪えない時間が続いたが、途中出場の三笘薫が89分とアディショナルタイムに2得点。W杯予選で未勝利の敵地オーストラリアで勝利を飾った日本が、7大会連続7回目のW杯出場を決めた。

上写真=途中出場の三笘薫のゴールで日本が豪州を下し、W杯出場を決めた(写真◎Getty Images)

■2022年3月24日 FIFAワールドカップ・アジア最終予選・B組第9節(@スタジアム・オーストラリア)
オーストラリア 0-2 日本
得点:(日)三笘薫2

画像: オーストラリア対日本の先発布陣

オーストラリア対日本の先発布陣

0-0だったので行くしかないと(三笘)

 互いに主軸が不在の試合、注目された大迫勇也が不在の日本のCFには浅野、冨安健洋不在のCBの一角には板倉が入り、酒井宏樹不在の右サイドバックは山根が先発した。コンビネーションは不安視されたものの、前半から日本は何度もチャンスをつかんでいった。

 予想されたほど相手がプレッシャーをかけてこないため、ボールを縦横に展開し、攻めの形を次々と作り出す。右から伊東、左から長友が攻め上がり、クロスを供給。それでも左から中央に進出して放った南野のシュートは2度もクロスバーに嫌われるなど、ゴールネットを揺らせない状況が続いた。

 一方でオーストラリアは主軸が不在のなかで押し込まれつつも、ボイル、フルスティッチの個の力でチャンスをつかんでいく。相手にとっての最大の得点機、日本にとっての最大のピンチは25分。左CKの場面でボイルが蹴った滞空時間の長いボールに対し、GK権田とセインズベリーが競り合うもボールに触れられず、流れてきたボールが山根に当たってゴールに入ってしまった。

 しかし、これはファウルの判定。VARでも判定は変わらず、日本は無失点、そして無得点で前半を終えた。迎えた後半、相手はやや圧力を強めてきたが、日本も落ち着いてボールを動かし、守備でも集中力を切らさずに対応していった。

 64分、日本が浅野に代えて上田、長友に代えて中山を投入。相手のロングボールやセットプレーへのケアも考えて高さのある選手をピッチに送った。すると勝って勝ち点で日本に並びたい相手も69分にFWの2枚替えを敢行。フォルナローリとティリオとピッチに送ってゲームを動かしにかかった。

 試合は0-0のまま残り15分を切り、いよいよ難しい時間帯を迎える。先に1点を取りにいくか、引き分けも意識しながらゲームを進めるか。相手が最後の力を振り絞ってくるなかで、日本は賢いプレーを求められることになった。攻め急がず、かといって受け過ぎず。バランスを取りつつ、時計の針を進めていく。

 79分には、伊東からボックス内に走り込む守田に短いパスを通し、折り返しを南野がシュート。相手DFに当たって決まらなかったものの、相手守備陣を翻弄する場面だった。

 日本は84分に疲れの見える南野に代えて三笘、田中に代えて原口を投入。すると、この交代が的中する。89分、川崎フロンターレで磨いた「タイミング」を生かしたプレーで、ついにゴールをこじ開けた。

 右サイドの深い位置、ボックス右横で原口からのパスを受けた山根は、ボックス内に入り込み相手を背負った守田にパス。そのまま守田に寄っていくとゴールラインの方へ方向転換。リターンパスを受けて、ライン際ギリギリから中へ折り返した。そこに待っていたのが、三笘だ。「視来くんが折り返すのは分かっていた」と三笘。川崎Fでともにプレーした3選手の連動から、最後は冷静にGKのポジションを見てゴール左に流し込んだ。

 それだけでは終わらない。アディショナルタイムの90+4分、左サイドで1対1を制すと、三笘はそのままカットインを選択。シュートのタイミングをはかりつつ相手を外し、ネットを揺らしてみせた。これまた川崎F時代によく見た得意の形が大舞台で、さく裂した。

「0-0で行くしかないと思って、やり切りました」。殊勲の三笘はそう言って二つのゴールシーンを振り返った。

 試合は、そのまま2ー0で決着。最終予選は3試合消化時点で2敗を喫する苦しいスタートとなった日本だが、終わってみれば1試合を残してW杯出場が決定。敵地で予選未勝利だったオーストラリアに勝利し、歴史も塗り替えてみせた。

 予選途中で基本陣形を4-2-3-1から4-3-3へ変更し、守田が主軸を担うようになり、東京五輪組を組み込んで田中や三笘、板倉が台頭。主力不在の試合では谷口彰悟、山根らが地力を示してみせた。メンバーのこう着化を指摘する声もあったが、広げたグループを状況に応じて集結させることに成功したと言える。現在の代表は海外組が増え、とくに今予選は各月連戦で行なわれたため、集合から試合まで準備期間がほぼなかった。それでも序盤の失敗を糧に最適化を図り、最後はこれまでの予選でも成し遂げたことのない6連勝を実現した。

 時に批判も浴びた森保一監督は試合後に、こう予選を振り返った。

「サポーターの皆さん、国民の皆さんと、そして今日、ここに来たチームだけではなく、これまでつなげてくれた選手たち、スタッフたちがいっぱいいて、われわれがこの場に立って勝利することができました。日本代表を支えてくれた全ての方々と、すべてのサッカーファミリーと、このW杯出場という勝利を喜びたいと思います。応援、支援、ありがとうございました」

 この日、日本は歴史をつなぎ、W杯の舞台で新たな歴史を創る権利を得たーー。


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