今夜、日本はカタールW杯出場をかけてオーストラリアと対戦する。ケガにより大迫勇也、酒井宏樹らを欠く中、果たしてどんなメンバーで運命の一戦に臨むのか。ここではスタートからピッチに立つ日本代表の顔ぶれを予想する。現地シドニーは雨予報で、さらに相手も主力を複数名欠く状況。いくつかの理由から導かれる11人とはーー。

上写真=スタジアムで前日練習を行なう日本代表の選手たち(写真◎JFA)

雨のピッチを避け、ロングボールを放りこまれる可能性も?

 オーストラリア戦に先発する日本代表の11人を考えるにあたって、2つの要素を考慮する必要があるだろう。それは相手のボランチ2人の不在と雨である。

 アーノルド監督の率いるオーストラリアはこれまでボールを大切に扱うプレーを信条としてきた。いわゆるポゼッション志向の強いチームだったが、今回はボランチのムーイとアーバインが新型コロナウイルスの影響で不在だ。ボールを循環させる上で重要な役割を担ってきた彼らがいないことは、チームの戦い方に影響を与えるだろう。

 そして試合当日の24日のシドニーの天候は、雨予報。キックオフ時刻の20時(現地時間)の降水確率は90%となっている。雨中の決戦となる可能性が非常に高いのだ。現時点でピッチコンディションまでは読めないものの、1日中雨が降るとの予報もあり、ボールは転がりにくいかもしれない。仮に水たまりができるような状況になれば、地上ではなく空中からの攻撃を選択するケースもありそうだ。ひと昔前のオーストラリアのように、ロングボールを用いて高さ勝負という展開もなくはない。

 前述の2人のほかにも今回のオーストラリアはロギッチ、レッキー、グッドウィン、ロールズらが欠場。高さのあるロギッチとグッドウィンがいないのは日本にとってはポジティブな状況かもしれないが、相手はチームとしてエアバトルの『挑みどころ』を心得ている。昨年10月の対戦時も途中からはロングボールを使って地域を挽回し、日本を押し返すことに成功していた。今回の試合に向けた囲み取材の中で守田英正は前回対戦に触れ「相手は後半、短くつなぐことを少し止めて、ちょっと長いボールを放り込んできた。そこでセカンドボールを拾って、リズムをつくられてボールを持たれた。そういう相手への守備の仕方は考えないといけない。前に強く行き過ぎて結局、自分の後ろを空けてしまってセカンドボールを拾われたので、守備の構築というのは前回以上にしないといけないと思っています」と話し、警戒していた。

 以上の要素を考慮すると、まず日本の先発には高さに対抗できる選手が必要となる。今回、空中戦に強い酒井宏樹がおらず、さらに守備のセットプレー時に重要な役割を担う大迫勇也もいない中で、誰を選ぶのか。酒井の代わりとなり、大迫の役割を担いうる高さのある選手を求めるのか、あるいは他のポジションに手を加えて高さを担保するのか。ここがメンバー選びの一つのポイントになりそうだ。

 もう一つ重要なのは、相手のスタメンが予想しにくいという点だろう。前述の通り、オーストラリアは主力を複数名欠いており、日本戦に臨む顔ぶれを読むのがこれまで以上に難しい。さらに言えば前回対戦で日本はそれまでとは異なる4-3-3の陣形を採用。試合後のアーノルド監督の言葉を信じるなら、それは相手にとって「予想外」だった。立場も順位も逆転した今回の対戦で、今度はオーストラリアが策を練ってきても不思議ではない。

 そうした未知の相手と対峙する場合に必要となるのは、試合開始直後にピッチ上の情報をいち早く整理し、チーム全体に相手の骨格を伝えられる選手の存在だろう。瞬時に相手の特徴を把握し、立ち位置を見てサッカーをするという点においては、川崎フロンターレの選手たちに一日の長がある。

 以上の理由から、日本の11人を予想した。

決戦に臨む先発メンバー

画像: オーストラリア戦に臨む日本の予想スタメン

オーストラリア戦に臨む日本の予想スタメン

 フォーメーションは5連勝を導いた4-3-3。GKは権田修一。最終予選で常にゴールマウスを守ってきた守護神が先発する。DFは酒井不在の右サイドバックに山根視来。右CBにケガから復帰したキャプテン吉田麻也。冨安健洋が不在の左CBには、1月の中国戦、2月のサウジアラビア戦で好パフォーマンスを披露した谷口彰悟が入ると見る。東京五輪で吉田とコンビを組んだ板倉滉やエアバトラー・植田直通も候補だが、自クラブで左CBを務めている点、相手を見てサッカーができる点、そして空中戦も苦手ではないことから谷口が総合力で勝り、左CBを担うと見る。次に左サイドバックは、長友佑都と予想した。高さを考慮して中山雄太を配すケースも考えられるものの、今回の試合はW杯出場のかかる大一番であり、その経験を買って指揮官が先発を長友に託す可能性は高いだろう。前回の対戦で突破力のある相手の右サイドハーフ、ボイルに対応したことを考えても長友を起用するのではないか。

 MFはアンカーに遠藤航、右のインサイドハーフに守田、左に田中碧が入る。アンカーは不動の遠藤で、相手の放り込みに対応しつつ、セカンドボールの回収力を発揮することが期待される。インサイドハーフは、予選前節のサウジアラビア戦で守田が左、田中が右でスタートしながら途中で左右を入れ替えていたことを踏まえ、右に守田、左に田中とした。守田によれば、大外を回って攻め上がる左SBの長友、中に入ってきてプレーする左ウイングの南野拓実との関係性の中で自分の動きが重なることもあり、その関係性の中でインサイドハーフとしてプレーするのは、田中の方が向いているという。今回も2人は状況に応じてポジションを入れ替えるはずだが、守田は右、田中は左でプレーする時間が長くなりそうだ。

 前線の3人は右から伊東純也、上田綺世、南野。右ウイングは日本の『武器』である伊東で決まり。そして中央で大迫の代わって先発するのは上田ではないか。他の候補としては浅野拓磨、林大地、かつて1トップを務めた南野が考えられるが、候補者の中で最も高さがあり、多彩なシュート技術と少々無理な体勢からでもゴールを狙えるストライカーを起用する可能性が高いと見る。ポストワークという点から考えれば、林も候補となるものの、今回が初選出であり、試合2日前に現地入りしていることからも、この大一番に先発起用するとは考えにくい。そして南野はこれまで通り左で起用し、前回成功した『右を攻略して左から中へ入ってきた南野で仕留める形』を狙いたい。また、左サイドの候補である三笘薫は、状況次第で途中からSB中山とともに起用し、昨年11月のオマーン戦同様にゲームを動かしにいく役割を担うのがベストではないだろうか。

 前日会見では、試合の重要性を踏まえた上で技術や戦術とともに、何より「相手の気持ちを上回ることが大切」と森保一監督は語った。引き分けでも日本の優位は変わらないものの、得失点差によって3位に転落してしまうため、負けることだけは許されない(現在、日本は勝ち点18、豪州は勝ち点15)。決して受け身にならず、バランスを考えつつ賢く戦うことが求められる。


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