上写真=オーストラリア戦に向けてトレーニングする山根視来(写真◎JFA)
無理に上がって相手を引き連れていかないように
オーストラリアのストロングポイントは、サイドバックのベヒッチ、サイドハーフのレッキーが状況に応じて立ち位置を変化させる左サイドだろう。一方が幅を取れば一方は中に入り、役割を入れ替えながらプレーしてくる。そんな相手に対して、いかに日本の右サイドが対応していくか。同サイドの攻防は、カタールW杯出場がかかる今回の試合のポイントの一つと言っていいだろう。
日本としては右ウイングの伊東純也のスピードや突破力を生かす展開に持っていきたいところ。当然、相手は伊東を消しに来るはずだ。そこで重要になるのが、右サイドバックの振る舞いである。
今回は酒井宏樹が負傷により不参加となった。室屋成を招集していないため、メンバーの中で先発の可能性が高いのは山根になる。昨年11月の最終予選2試合でもプレーした本職の右サイドバック。本人もそのことを自覚している。
「勝ったら(W杯が出場が)決まる大一番。ただ、みんなそうだと思いますけど、(代表に)選んでいただいたときから試合に出る準備はしてきています。(これまでと)大きく変えることはなく、試合に向けていい準備をしたい」
1月の中国戦、2月のサウジアラビア戦で日本は連勝を飾ったが、山根にプレー機会はなかった。だからこそ「試合に出たいという思いはベンチに座っているとすごく沸いてきます。勝った半面、出られなかった悔しさというのも持ち帰っているので、何としても出て勝利に貢献したいと思っています」と出場に意欲を燃やす。
縦関係を組む伊東とのコンビネーションについては昨年11月の段階ではまだまだ難しさを感じていた。今回、とくに右サイドの出来がポイントとなる中で、どんなプレーを心掛けているのか。山根は言う。「相手が一番警戒するのは伊東選手のスピードだと思うので、裏のケアをしっかりしてくると思う。ただ、そこを狙いすぎるんじゃなくて、というのは僕が見てプレーしたいと思っています。一人で行ってもらうところは自分が無理に上がって、相手選手を引き連れていかないようにというのも考えながらやる必要がある」。
日本の強みを最大化しつつ、弱点とならないように気を配る。山根の中でプレーのイメージはできている。
「自分のサッカー人生の中で一番大きな試合になる、今までの中ではそうなると思いますし、本当に大きな覚悟を持って今から準備していきたい」
これまでのキャリアの中でも最大の試合。山根は最大の覚悟を胸に、ピッチに立つ。