日本代表はW杯アジア最終予選のベトナム戦、オマーン戦に連勝し、オーストラリアと入れ替わりグループBの2位に浮上した。今後を見据えた上で重要だった11月シリーズで勝ち点を積め理由の一つとして、守備の安定が挙げられる。その中心にいたのが、CBの冨安健洋だ。

上写真=オマーン戦後、オンラインで取材に応じた冨安健洋(写真◎スクリーンショット)

ゼロに抑えれば負けることはない

 最終予選の6試合を終え、日本は4勝2敗としてグループBの2位に浮上した。得点は5。そして失点は3。今回のオマーン戦でも攻撃面では1ゴールに留まった一方で、守備面は抜群の安定感を見せている。3失点は首位サウジアラビアと並ぶ、グループ最少だ。

 大きいのは吉田麻也と冨安のCBコンビの存在だろう。ボールホルダーに対して前に出るか、その場に留まるか。長くコンビを組んでいることもあり、ユニットとしてその判断に大きなブレがない。10月のオーストラリア戦では引き過ぎたことでピンチも招いたが、オマーン戦では下がりすぎることなく、前で潰すことを意識しながらプレー。エアバトルに強く、背後にボールを蹴られても追いつくスピードを備える冨安もその持ち味を存分に生かし、相手の攻め手であるカウンターを封じていた。

「2試合とも、一つのミスで勝敗が決まるというシビアな90分間でしたけど、しっかりコミュニケーションを取りながら、下がりすぎることなく、みんなでゼロに抑えることができた。いつも言っているように、後ろがしっかりゼロで守ってチームを安定させることができれば勝ち点3を取る確率を高めることができるので。そこを今後も求めてやっていきたい」

 アウェー独特の雰囲気の中、なかなかゴールを奪えず、試合は0-0のまま進んだ。とくに前半は日本の攻撃が形にならず、難しい展開と言えた。オマーンの中央エリアが堅く、縦パスを打ち込むことができなかった。それでもチームは集中した守備を見せながら、焦れることなく好機を待った。「ゼロに抑えることが僕らの仕事ですし、ゼロに抑えればまず負けることはない」。冨安の言葉通りのプレーが、良い攻撃へとつながった。

 後半、三笘薫の登場をきっかけにチームの攻撃は勢いを増し、試合終了まで10分を切ったところでその三笘からのパスを受けた伊東純也が決めて先制。そのまま守り切り、日本は今予選、3度目のウノゼロ(1-0)勝利を手にした。

「ここ2試合で勝ち点6を取れたことは大きい。実際、順位も2位に上がることができたので、とても価値のある2試合だったと思います」

 11月シリーズの2試合でノルマとしていた6ポイントを獲得した。その2試合ともが無失点勝利。とくに今回は右サイドバックに山根視来が入り、左サイドバックもこれまで以上に長い時間、中山雄太がプレーした。最終ラインの顔ぶれに変化があった中で、結果をつかみ取ったことは層の拡充という点か見て、守備陣にとっても、チームにとっても大きい。

 ただ、冨安は「奪ったボールをつないで僕たちの時間をつくるということはどこが相手であってもやらないといけない」とチームとしての課題を挙げることも忘れなかった。「90分間、揺さぶられ続けると体力的にもきつい。僕たちがボールを持つ時間を長くして、相手を揺さぶっていく時間は必要。それは、相手がより強くなった時にもやらないといけないこと」と、東京五輪で延長で屈することになった準決勝のスペイン戦を教訓に、さらなる向上も求めている。アジア最終予選突破に注力しながらも、目指すのはあくまでもその先だ。

 日々、強度の高いプレミアリーグでプレーし、ワールドクラスの選手と対峙している冨安はチームに対しても、何より自身に対して、求めるレベルが高いーー。


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