カタール・ワールドカップアジア地区最終予選、11月11日の第5戦で日本がベトナムをアウェーで1-0で下した。前節に続いて採用した4-3-3システムの使い手である守田英正は、「まだメリットを生かしきれていない」と伸びしろを感じ取っている。

幅を取っていることのメリット

「全然だと思います。選手の特徴を理解しつつ、このシステムで起こりうる動き出しが一の矢しかない状況が続いていて単調になっています。二の矢、三の矢がまだないと思います」

 4-3-3の強みを生かせていない。パターンが一つしかなければ、相手に読まれる。

「まだまだチャンスは作れると思っていて、4-3-3のいい部分は生かしきれていないと思います。自分たちがシステムの良さとデメリットを把握しきれていない」

 守田も移動のトラブルに巻き込まれてベトナム入りが遅れ、全体練習が1回しかない中ですべてを完璧に運ぶことは難しい。だから、できたことに目を向けて次につなげる。

「真ん中の3人が流動的に動いて相手を釣りだして、最後はクロスが流れてしまったけれど、4-3-3だから起こりうるプレーでした。あのシーンは幅を取っていることのメリットを引き出せているので、どれだけ再現できるかが重要です」

 それは、45+4分のこと。吉田麻也がGK権田修一に戻したところから始まる。

 権田が預けた冨安健洋から田中碧へと自陣で回して相手のプレスを回避したあと、左の長友に預け、もう一度田中が受けると、左に持ち出してからタッチライン際を縦にパス、守田がこれを受け、外から中に入れ替わるように入っていった南野拓実に預けると、中央の遠藤航を経由して右外の伊東純也に渡ったシーンだ。一気にゴール前に5人が入っていく迫力満点の攻撃は、伊東のクロスがファーに流れ、突っ込んだ守田は触るのが精一杯だったが、守田の言うとおり、流麗なこのシーンこそが新システムの効果だった。

 中盤の3人で言えば、この直前に遠藤が右の前にオーバーラップをかけていて、これを見ていた田中がぐぐっと下がって、守田が左外、というポジショニング。それぞれの距離は離れていたが、バックパスで相手を間延びさせたことで、かえってそれが効果的だった。

 残念ながら守田は警告を受けて、次節は出場停止となった。勝負のオマーン戦に4-3-3システムのキーマンを失うのは痛手だが、この2試合で見せた守田のスタイルを代わりに入る選手にしっかり引き継ぐために「悔しいですけど切り替えてサポートしたい」とピッチ外でも全力を注ぐことを誓った。


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