上写真=オマーン戦に向けて調整する柴崎岳(写真◎早浪章弘)
1試合目から集中した戦いを見せたい
昨年11月以来の日本代表活動になる。森保一監督は、今年6月の活動時に柴崎に関して「1部昇格へのプレーオフにつながる試合をしていた」所属クラブ(レガネス)の事情を考慮し、招集を見送ったことを明かしていた。つまりは事情が許せば、招集していたということだろう。
「最終予選が始まるということでこれまでとまた違った戦いになると思います。非常に厳しい戦いになるということを自覚しながら臨んでいきたい」
最終予選の戻ってくる形となった柴崎は、自身の役割をきっちりと果たす準備ができている。
「1戦目は、大事な戦いになると思うので、ワールドカップの出場権を得るためにも、1試合目からしっかりと集中した戦いを見せたい」
初戦を戦うオマーンとは2019年のアジアカップで対戦しているが、そのときとは監督も代わっており、どういう戦い方をしてくるか分からない点が多い。「思い返しても簡単ではない相手と感じています。今回、ホームでアドバンテージはありますけど、最終予選の最初の試合という緊張感もあるでしょうし、どういった試合になるかというのは見てみないと分からないというのはあります。あまり情報がないので、試合に入ってから見るべきところがたくさんあると思います。今までやってきた日本代表の戦いをしっかり出すことが大事なのではないかと」。スカウティングによる情報はもちろん、あるにせよ、実際のゲームで必要な情報を素早く把握し、対応していくことが求められる。振り返れば、そのアジアカップ決勝でカタールに敗れて以降、日本代表は臨機応変な対応と修正力を重要なテーマとして強化を図ってきた。最終予選は、そういう意味でも力を試される場と言えるかもしれない。
対応力に加えて、選手層の拡充というテーマにも日本は意識的に取り組んできた。ロシアW杯から主軸を担ってきた柴崎は、自身が不在だった間に選手が台頭し、東京五輪でも若い選手たちが多くの経験を積んだことを歓迎した。
「僕自身はロシアのワールドカップが終わってから一貫して、選手の層と言いますか、ベンチメンバーを含めて本大会に臨んでいかなければいけないし、最終予選も含めてですが、色んな選手が出てこないと、チームとして安定して戦っていけないと言ってきました。そういう意味では1年前から、僕がいない間に色んな選手が出てきて、僕のポジションだけではないですが、チームの中で競争もそうですけど、色んな選手が出ても戦えるという自信のようなものができてきているとは思います。それをまたこの予選で成長させていきたい」
柴崎が強く求めるのは、何よりチームの向上だ。
「個人的には競争という感覚ではなく、チームとしてどうやって成長していけるかというところにフォーカスをしています。その中で自分自身のパフォーマンスをどう出していくか。そこに集中しているので、コレクティブに戦っていくことが一番大事なのではないかなと思います」
競争よりも共闘。ケガ人や出場停止など、最終予選中にも当然ながら不測の事態は起こり得る。誰が出ても安定して戦えるチームになることが目指すところ。ひいてはそれが本大会で結果を出すことにもつながっていく。柴崎の視線は足元はもちろん、その先もしっかりと捉えている。