上写真=守田英正は3月シリーズの2試合で確かな存在感を見せた。今回の活動で確固たる立場を築くつもりだ(写真◎小山真司)
リーグ最終節のビューティフルゴール
1月に移籍したポルトガルのサンタ・クララで、半年で20試合すべてにフル出場。守田英正がヨーロッパに確かな足跡を残した。
しかも、リーグ最終節ではファレンセを相手に、まるでストライカーのような美しいゴールを決めている。
自陣左サイドで縦パスを受けると、後ろに戻るフェイクを入れて前へ持ち出し、左に預けてそのまま前方のスペースに走り出た。
「最初に受けたときにうまくターンできて相手をはがすことができたので、ゴール前まで推進力を持って走っていこうという流れで前に行きました」
そこにリターンパスが入ってきて、相手と対峙した。
「いいボールをもらえて、いろいろ選択肢はあったんですけど、中に切り込めたので最後はシュートを打つしかないと思って、思い切って打ちました」
勝負を仕掛けたときに、右を抜くか左に出るか迷ったという。
「股を抜くか、抜かずに深い方に切り返すか二択で迷って、結果的に股は抜いていないと思うんですけど、判断がいい方向に転びました」
向かって右を抜くようにしてペナルティーエリア内に進入して、GKを見た。
「中にも選手が2枚いて、いつ打っても入るような感じだったんですけど、少しキーパーを見ながらシュートを打ちました」
ボールを受けて相手を引きはがす軽やかなターンから、迷いなく一気に走り抜け、相手をかわして冷静にフィニッシュを突き刺す。この一連のアクションは、ポルトガルの半年で手に入れた新しい強みを象徴しているのではないだろうか。
「割とゴール前での冷静さが出てきている」
「シュートを打つという部分はもともと川崎にいたときより求められていると思います。海外クラブではボランチが点に絡むことが多くて、そういう選手に近づいていけるように、結果に結びつけられればと」
これがチームの2点目。結局4-0で勝利を収めて、6位でフィニッシュ、来季新設されるUEFAカンファレンスリーグの出場権を獲得した。自らもぎ取ったその経験を、今度は日本代表で生かす番。
「日本にいたときに求められていたのはビルドアップのところで、ポルトガルでできるようになったのが攻撃で数字に絡んでいく部分です。ベースになるのは守備や後ろの安定化、ビルドアップでサポートに回る動きですが、その上で最後、ゴールやアシストに絡むことが一番大事になってくると思います」
3月には韓国とのテストマッチとモンゴルとのワールドカップ2次予選に出場して、大きな存在感を残した。
「今回は前回以上の活躍をできればと思います。リーグ最終節で点を取ってきたいい流れがあるので、得点に絡む部分をしっかり見せつけたいと思います」
「川崎のときとはポジションがちょっと違うというか、与えられる役割が違うので比較はできないですけど、意識は間違いなく上がっていますし、割とゴール前での冷静さが出てきているので、そこを見てもらえればいいと思います」
今回はワールドカップ予選3試合とテストマッチが2試合が予定され、長期間に渡ってチーム作りができるいい機会だ。ボランチでは遠藤航、橋本拳人、川辺駿との争いになりそうだが、でもだからといって、特別なことをするつもりはない。
「個人でやるべきものは変わらないというか、コツコツと目の前の試合に集中して、チームを勝たせることに尽きます」
コツコツ、というところが、まさにこの人らしい。