日本代表は3月シリーズを連勝で終えた。韓国に完勝し、モンゴルには歴史的な大勝を果たした。吉田麻也キャプテンは、この2試合、そして久々の国内合宿についてどう感じたのか。モンゴル戦後に自身の考えを語った。

上写真=モンゴル戦は64分までプレーした吉田麻也。森保監督と握手し、ベンチに下がった(写真◎小山真司)

成熟度を評価するのは難しい。期待を込めて「まだまだ」

 14-0で圧勝。日本はワールドカップ予選史上最多得点でモンゴルを下した。相手のレベルの問題があったにせよ、それは最初から最後まで手を抜くことなく戦った証だ。ただ一方で、この結果をもって日本の成長度合いを判断するのは難しい。吉田キャプテンも、その点について十二分に理解していた。試合後、冷静に結果を受け止めている。

「2次予選の相手は(参加国の)数が増えたので、ちょっとレベル的にも前回、前々回(の予選)とだいぶ違う。それは今日見てもらったら分かると思います。かなり変わっているので。最終予選はこんなに簡単にはいかないでしょうし、最終予選に入ってからが本当の戦い。そこで厳しい戦いを切り抜けていかなければいけない。今の段階で成熟度を評価するのは難しいですけど、期待も込めてまだまだ足りないんじゃないかなと言いたいですね」

 もちろん、勝利は価値あるもので、どん欲にゴールを目指した姿勢はチームにとって収穫だ。ただ吉田は「期待を込めて」さらなる成長を求めた。25日の韓国との親善試合も踏まえて、3月シリーズ全体については、こう語っている。

「(モンゴル戦は)あまりにも力の差がありすぎたので評価しづらい部分はあります。ただ1試合目に関しては、もちろん韓国がもう少し来るだろうと考えていたので予想とは違った部分がありましたけど、それにしても自分たちがいいパフォーマンスを出せたんじゃないかなと。そこは悲観していない。1試合目に作り出したものというのは、非常にレベルに高いものだったと思いますし、ああいうパフォーマンスを相手が強くなっても出せるかどうか。そこが一番のポイントじゃないかなと思います。これから最終予選に入っていき、本番に向けてのフレンドリーマッチで強い相手とやるときに、そういう形を出せるかどうかが大事。その形をいくつも1試合目で作れたというのは非常にポジティブだと思います」

 見据えているのは、あくまで最終予選、その先の本大会だ。モンゴル戦でどん欲にゴールを狙い続けたこと。そして韓国戦で示した高いパフォーマンス。これらは確実に次につながるものだろう。さらに今後に向けてチーム内の活性化、すなわち競争力が重要だと指摘した。

「国内でやるのは1年4カ月ぶり。前回、前々回と、海外組しか呼べない状況だったので、国内組の選手はもどかしい思いをしていただろうし、チャンスをモノにしたいという高いモチベーションでこの合宿に挑んだのは間違いないと思います。ただ、一歩を踏み出したとは思いますけど、これからだとも思います。今回、U-24に行っている選手は昨日もいいパフォーマンスをしたと思いますけど、彼らもこの座を狙ってくる。他のJリーグでプレーする選手や海外でプレーしている選手も、この23人という枠を必死に、死に物狂いでつかみに来ると思う。全員にとってこれは競争です。一つ、このチャンスをモノにしたなら、簡単にこのポジションを分け与えてはいけないと思う。一人一人が死に物狂いでこのポジションを死守しなければいけない。それはこれから4月、5月のJリーグだったり、各国のリーグでのパフォーマンスにつながってくるし、そこで意識を高く、高いパフォーマンスを維持して次の招集に備えるというのが大事かな思います」

 今回のシリーズには多くの国内組が参加した。結果も出したが、より成長するためにはやはり日常的により高いレベルでプレーすることが重要になる。吉田は「ヨーロッパの強いチームでプレーする選手はまだまだ少ない」現状を踏まえて、今後への期待を口にした。

「ここから2カ月、良いパフォーマンスを出して夏に移籍する選手が一人でも多く出ないといけないと思います。これはずっと言っている話ですけど、そういうところに身を置く選手が一人でも多く出ないといけない。今回、国内組として選出された選手もいろんなことを感じたと思うし、そういう上のレベルで誰かがやれば、おのずと下も刺激を受けて、総合的にいい方向に向かって行くと思う」

 代表チームの進歩という視点から考えるとき、言うまでもなく選手それぞれの成長は不可欠だ。ヨーロッパのビッグクラブでプレーする選手が増えれば、必然的にチーム力も向上するだろう。掲げる目標は、ワールドカップの上位進出。越えるべき壁は、相当に高い。だからこそ「これまで以上」が求められる。

 最終予選は今年9月から始まる予定で、カタール・ワールドカップは来年11月に開催される。時間はあるようで、ない。久々に海外組と国内組が融合した今回のシリーズは、改めて目標を確認し、成長への強い意欲を刺激する意味で、貴重な時間となった。


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