東京オリンピックで金メダル獲得を目指しているU-24日本代表だが、その守備の要、冨安健洋はフル代表での活動を続けている。森保一監督が「絶対的なレギュラーならフル代表」と全幅の信頼を寄せているからだ。

上写真=冨安健洋(左)と吉田麻也。日本のゴールを守る鉄壁コンビだ(写真◎小山真司)

「試合中はあることですし」

 ちょっとした「場外乱闘」に巻き込まれた感覚だろうか。

 3月25日の韓国戦で相手の振り上げた手が、冨安健洋の口に当たって出血。これが故意だったのではないかとされて、話題になった。

「全然大丈夫ですね」と涼しい顔なのは、当の本人だ。ただ、歯が折れたとあってはやや物騒な話ではある。

「応急処置をしてもらって、練習も試合も問題なくいけます。歯が半分折れちゃったという感じですね。完全には折れていなくて。とりあえず応急処置をして見た目は戻った感じですかね。痛くはなかったので、見た目が戻ればいいかな、と」

 そんな風に笑う余裕がある。

「相手の反応からしてもわざとじゃないなと感じていましたし、僕も手を使って相手をコントロールするのは意識してもいます。あのときは僕も相手を抑制するためにちょっかいと言ったら変だけど、駆け引きで腕を使っていて、それを払おうとしてその上で僕の歯に当たっちゃったと思っています。気にはしていないですね。試合中はあることですし」

 ということで、少し周囲が色めき立っただけということになるだろう。

 その翌日にはU-24代表がU-24アルゼンチン代表と親善試合の1戦目を戦った。冨安も東京オリンピックを目指すチームの主力だが、今回は森保一監督の意向でフル代表で活動している。

 そのU-24代表はアルゼンチンに手こずって、攻めながらも攻めきれず0-1で逃げ切られる結果になった。体の強さやこすっからいところなど、いかにもアルゼンチンらしいスタイルに押し切られた。

「もちろんフィジカルはベースに持っておかないといけないんですけど、日本が勝負すべきところはそこではないと思っています」

 イタリアで百戦錬磨のFWたちと日々、丁々発止のバトルを繰り広げている。フィジカルの重要性はよく分かった上で、そこではない、というのだから、説得力がある。

「日本の特徴はフィジカルよりもテクニックや細かいパスワーク、連係、チームとしての連動だと思っています。そのベースのフィジカルはしっかり上げつつ、特徴を忘れずに出していく必要があるのかなと思います」

 金メダルを目指す仲間たちの奮闘を見つめながら、冨安はさらに先の世界を見て3月30日のワールドカップ2次予選、モンゴル戦に挑んでいく。


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