上写真=韓国戦で得た刺激を、脇坂泰斗は日々の練習で生かしていく(写真提供◎JFA)
「自分も、という気持ちにめちゃくちゃなりました」
待望の代表初キャップだ。3月25日の日韓戦で脇坂泰斗が南野拓実に代わって86分にピッチに飛び出した。
「出場時間は短かったですけど、球際のところや切り替え、規律の部分をしっかり守りながら、良さを出していこうと臨んだので、そういう中ではできたのではないかなと思います」
まずは最低限のプレーはクリアしたという自己評価になった。ただ、「代表デビュー」ということに関しては、意外と冷静だ。
「あまり気にしていなくて、今後どうしていくかだと思っています。(キャップ数を)増やしていけるようにしていきたいですし、あと1試合(30日のワールドカップ2次予選モンゴル戦)とクラブに帰ってからが重要になってくると思います」
まったく浮かれることもなく継続の重要性を強調するのは、一歩ずつていねいに歩んできた脇坂らしい反応だ。
所属する川崎フロンターレは昨季、圧倒的な強さでJ1リーグと天皇杯を制し、脇坂はその中心メンバーだった。そこで積み上げてきたものがあるからこそ、日本代表の一員になった。
「止めて蹴る、の部分であればここ(代表)へ来ても自信を持っていいなと思いました。良さを出していければ勝負できる感覚はあります。ただ、厳しい状況になったときにどうできるかがもっともっと大事になってきます。そこを伸ばしていければというのが課題としてはありますね」
川崎Fではその正確な技術がなければ試合に出ることはできないが、毎日求めているその基準が、代表メンバーの中に入っても通用するという手応えはあった。だが、世界基準のハイプレッシャーの中でできるかどうかで真価は問われる。だから今回、追加招集でメンバー入りして受けた刺激は、やはり海外組の強度の高さだ。
「ゴールに向かう姿勢は迫力がありますし、自分に足りないところだと思うので盗んでいきたいと思います」
「この前の試合(韓国戦)では鎌田選手が一人で点を取っていますし、そういうプレーができればどんなサッカーでも生きると思います。そういうところをどんどん盗んでいければいい」
韓国戦で言えば伊東純也、鎌田大地、南野が並ぶMFが脇坂の主戦場。ヨーロッパでプレーする彼らを超えるには、まず盗むところから始めるつもりだ。その点で一つ、フックになりそうなのは韓国戦で日本が奪った先制点ではないだろうか。決めたのは、川崎Fのチームメート、山根視来だった。
インナーラップしたところに出した守田英正の縦パスは相手に引っかかるが、大迫勇也が巧みなジャンピングヒールでつないだところで右足でぶち抜いた。気がつけばゴール前に進入しているプレーは、川崎Fで山根が大得意にしているプレーだ。
「クラブでもああいうところに入っていきますからね。抜けたときに、これはいったなと思って、素晴らしいシュートで先制点を決めて流れを持ってきてくれました。自分も、という気持ちにめちゃくちゃなりました」
周りからもらったたくさんの刺激で、自分の現在地を見据える25歳のいま。技巧派MFは「ここでぐんと成長したい思いが強くある」とうなずくのだった。