上写真=リーダとしての存在感も中山雄太の魅力。チームを引っ張る存在になるはずだ(写真◎JFA)
「周りへのアウトプットが多い」
吉田麻也、遠藤航、中山雄太。3人に共通するものとは?
答えは「オリンピック代表のキャプテン」。吉田は2012年ロンドン大会、遠藤は2016年リオデジャネイロ大会でチームをまとめ、中山は2021年に開催予定の東京大会に臨むチームを主将として率いてきた。
日本代表の10月と11月の強化活動において、歴代五輪キャプテンとともに過ごす時間は中山の刺激になっている。
「確実に周りへのアウトプットが多いということは感じています。要求することもそうですし、周りが思っていることを引き出すコミュニケーションが多いと思います。そういう部分は五輪のキャプテンの立場から学べると思っています」
先輩たちから学べるものは何でも吸収しようという意欲は尽きない。
「五輪代表につなげることとして、コミュニケーションは自ずと多くなってきます。それは五輪世代の選手に限られているわけではないけれど、ここで得られるものは必ず五輪代表に還元することでレベルアップにつながると思います。ここでより多くのものを得ようという感覚で五輪につながると思っています」
その遠藤とは11月13日のパナマ戦で10分ほど一緒にボランチとしてプレーした。凄みをすぐ隣で感じていた。
「一番は自信を感じますね。デュエルの部分でも攻撃の部分でも、僕が似ている部分を目指しているのでタイプが重なるところがありますが、外からプレーを見たり、今回10分だけだけど一緒にやってみて、勉強になるしお手本になります」
遠藤からあふれ出る自信は、中山に大きな刺激をもたらしている。
「自分の特徴を出すのはもちろんですが、周りの選手からいいところを盗んで成長することは意識しています」
ピッチの外からでも盗めるものは盗む。パナマ戦は出番が来るまで仲間のプレーを見て感じたことを、次のメキシコ戦に応用するイメージができている。
「スピードのある相手に対して、ボールが入る時点で僕が優位な状況にあることを意識しています。システムは分かりませんけど、パナマ戦からの修正という点で考えると、後ろに人が余ってプレスをかけるのを迷っている時間があったので、そこを改善できればと思います」
10月シリーズではカメルーン戦でボランチとして、コートジボワール戦では4バックの左サイドバックとしてフル出場している。パナマ戦でも柴崎岳に代わってボランチに入り、1点をリードしたまま試合を終わらせるクローザーとしての役割を全うした。この3試合の起用を見れば、森保一監督からの信頼がどれだけ厚いか見て取れるだろう。
「多くのポジションで特徴を出すのは意識していることですし、(パナマ戦では)3バックをやったので、3バックの左もあると思っています。しっかりとそういうところを出せるようにしたいと思っています」
複数システムの複数ポジションをこなす戦術眼を持つことは、戦略の幅を広げようとチームを組み立てるいまの日本にとっては有用な人材。キャプテンシーを持つ者として、遠慮なく存在感を示していくつもりだ。