上写真=珍しい眼鏡姿で取材に応じた柴崎岳(写真◎スクリーンショット)
スタイルを明確に持つことはしたくない
オーストリアのグラーツで始まった日本代表の合宿2日目。オンライン取材に応じた柴崎は、戦い方についての質問に答える形で日本代表のおける自身のスタンスを語った。一言で言えば、「保持よりも、勝利」である。
「強豪国相手でもどんな国であっても、個人的にはボールを必ず保持したい、その時間を長くしたいとはあまり考えていないです。すべては勝利するためであって、その時の状況や時間帯によって(戦い方は)変わっていくものだと思っています。(質問は)ボールを持っている方が優勢という考え方に基づいているのだと思いますが、試合全体を通してボールを持っていなくても勝利の可能性が高くなることもある。ボールを放棄したほうが勝つ可能性や得点する可能性が高くなることもあるので。個人的にはそう考えています」
目指すべきは勝利であって、スタイルそのものではない、ということだ。
「こう言うとポゼッションを軽視しているように取られるかもしれないですが、そうではなく、あくまでも状況に応じて、相手との力関係もそうですし、いつもこういった試合をしたいというスタイルを明確に持つことは、個人的にはあまりしたくないと思っています。『自分たちのサッカー』を掲げてきた過去の日本代表というものもありますし、それに捕らわれて全体像を見れていないのであれば、それは違った部分になってくると、個人的には思います。あまり、『こういったサッカーをしていこう』というふうには思いません。テーマ的にチームとしては持っているかもしれませんが、それはあくまでアイディアであって、大事なことは勝利するためにその場その場で何をしていくかだと思います」
日本代表には過去にスタイルにこだわるあまり、勝利をつかみ損ねた経験がある。最たるは、ブラジル・ワールドカップに臨んだチームだろう。勝利を手にするために常に最善の戦い方を選択できる状態が、理想的だ。実際、森保一監督は柔軟に戦える集団となるべくチーム作りを進めてきた。10月シリーズでも試合中にシステムチェンジを図るなど、『柔軟性の獲得』にトライしている。個人的な考えと断ったうえで発言した柴崎だが、その考えは現在のチームが目指すものと相違がないと思われる。
「守備の連係だったりディフェンス面での収穫と、試合中の戦い、戦術等の変更で自分たちにメリットをもたらしていくというところは継続し、確立したい部分。一方でチャンスクリエイトだったり、ゴールをもたらすという課題にも着目して、質と精度、アイディアを全員で共有したい」
「前回の遠征に引き続き、意識していきたいのは、いま言ったようなことをどれだけ試合の中で僕のところから発信して、チームの波を作っていけるかという部分。それは守備においても攻撃においても。チームとして共有すべきことを、みんなに伝え、プレーで示していけるか、です」
前回のオランダ遠征で出た収穫と課題を踏まえて、柴崎は11月シリーズで目指すものについて、このように語った。
13日のパナマ戦、17日のメキシコ戦。攻守の要衝でプレーする柴崎が、どんな選択をするのか。注目である。