上写真=トレーニングとオフの時間、久々の代表活動について冨安健洋は「いい時間を過ごしている」と語った(写真◎JFA)
興味を持たれているのはモチベーションになる
ヨーロッパに渡って3年目。冨安は大きく飛躍した。セリエAのボローニャでレギュラーを張り、日本代表でも地位を確立しつつある。充実の時を過ごす若きCBは1年ぶりの代表活動について、「僕も楽しみにしていましたし、集まって3日、4日くらい経ちましたが、オフのところは楽しくやって、オンのところで厳しくやれているのでとても充実した時間を過ごせています」と話した。
「2年あまり前、最初に招集してもらったときに比べると、代表に対する思いだったりというのは変わってきています。より責任感が増したというか、やっぱり試合にも出させてもらっているので、日本のために全力でプレーしたいと思います」
コロナ禍における代表戦の意味を心に刻み、今回の試合に臨む決意だ。自身はこの1年でDFとして成長した。昨季、ボローニャでサイドバックを務めて、プレーヤーとしての『幅』が広がったという。
「去年1年間、サイドバックをやって、やりにくい状況というか自分が不利な状況で守備をすることが多かったので、常に1対2の状況であったりとか、大変な思いをしていました。そういう意味では僕がセンターバックに入って、サイドバックにそういう思いをさせないように、できるだけ負担を減らしてあげられるようにカバーできればいいと思ってプレーしています」
最終ラインをユニットとしてとらえ、より『大きな視点』で守ることができるCBになった。そんな冨安は今、ビッグクラブからも注目されている。
「世界的な有名なクラブ、ビッグクラブから興味を持たれているということはうれしく思っていますし、モチベーションにもつながっています。でも、今はボローニャの選手ですし、ボローニャのためにプレーしたいと思っています」
「もちろん、どういうふうにステップアップしていきたいかという理想はありますけど、それも理想でしかないですし、今まで目の前の相手に負けないだとか、目の前の試合に勝つだとか、その場その場で全力を尽くしてここまで来れたので、あまり先を見過ぎずに、今できることを全力でやれればいいと思っています」
熱視線を送られる現在の状況をポジティブにとらえながらも、地に足はついている。やるべきことを愚直にやる、これまでとそのスタンスは変わらない。
今回の遠征では冨安の同世代、すなわち東京五輪世代の選手たちが7人参加しているが、そのことについて「今までのA代表の活動の中で東京五輪世代が7人入ったことはなかったと思うので、やっぱりそういった選手たちがコミュニケーションを取りながらやれていますし、絡んでくる選手が増えれば五輪活動の質というのも上がると思うので、とてもポジティブなことだと思っています」と語る。
冨安の言う通り、経験豊富なA代表の選手とともに過ごすことで若い選手は多くのことを吸収できるだろう。一方で、冨安健洋という同世代のトップランナーと過ごすことによっても得るものが多いはずだ。21歳の冨安の成長は、代表の成長も促す。
さらに言えば、日進月歩の成長を目の当たりにした上の世代も、冨安に大いに刺激されているに違いない。