上写真=11月以来の代表戦で植田も自らの成長を披露する覚悟だ(写真◎Getty Images)
「携われることになって楽しみです」
日本代表のセンターバック事情は、大黒柱の吉田麻也(サンプドリア)と冨安健洋(ボローニャ)の「イタリアコンビ」がファーストチョイスと考えられている。さらに層の厚みを加えるためには、この男の存在は不可欠だ。植田直通。強靭な肉体をベースにした激しいディフェンスを身上とし、ベルギーのセルクル・ブルージュで日々、鍛えている。
「自分よりも年下の選手が活躍するのは刺激になりますし、トミだけではなくてほかのセンターバックも海外に出てきて活躍してレベルが上って、危機感があります。でもそれも自分に必要なこと。それがあるから成長できるんです。チームでの争いもそうですし、ここ(日本代表)に来ての争いは日本のこれからの強さになるので大歓迎です」
相変わらず言葉に力がこもっていて頼もしい。
今季のベルギーリーグは8月に開幕していて、ここまで8試合を消化。そのうち出場した6試合はすべてフルタイム、プレーしている。背番号5の主力として最終ラインで奮闘中だ。
「日本でやるのと外に出て海外の選手を相手にするのとでは違った対応をしています。体の大きい選手がほとんどの中、互角に戦うには真っ向勝負より技術も高めないといけないと思っています」
身長188センチの体躯を誇りながらも、フィジカルバトルに苦労する場面もある。だからこそ、イーブンに競り合うだけではなく、有利なポジションを先に取って駆け引きする「頭」の勝負も仕掛けている。そうした一つひとつのしびれる現場が、成長を促してくれるのだ。
「ベルギーでもアフリカの選手が多い中でやっていますが、身体能力や一瞬のスピードは日本人が持っていないところです。一つのルーズボールやスキを見逃さないので、一瞬のスキも出さないように、常にいい準備、いい体勢にしておくのが大事です」
この2試合はカメルーンとコートジボワールが相手で、アフリカの選手も多いベルギーリーグでのプレーを生かすチャンス。そのためにはやはり、いい準備という「頭」の部分の必要性を強調するのだ。
今回の代表の活動は昨年11月以来と少し間が空いたから、改めて森保一監督のスタイルを確認する作業が大事になってくる。
「鹿島にいるときから(森保監督が指揮を執っていた)広島と試合をして、戦術が徹底されているなと思っていました。代表になってからも監督のサッカーははっきりしていて、それができれば相手に脅威になると鹿島時代から思っていました。いま、それに携われることになって楽しみです。自分のクオリティーを上げなければ」
森保流を染み込ませてプレーする喜び。だからこそ、このチームに寄せる思いは強い。
「代表に呼ばれる回数は多くなってきましたが、まだまだ足りていないと思っているところがたくさんあるんです。若い選手もたくさん入ってきた中で、負けない力を出さないといけないですし、若い選手に負けることなく突き上げていけるようにしたいと思います。それがあればチームも良くなっていきます」
自慢の「体」に「頭」の整理を加えて突き上げる。植田の覚悟を見ることのできる2試合が、間もなくやってくる。