上写真=熊谷紗希はキャプテンとして、最後まで力強くチームを引っ張った(写真◎Getty Images)
■2023年8月11日 女子W杯準々決勝(@オークランド)
日本女子 1-2 スウェーデン女子
得点:(ス)アマンダ・イレステット、フィリパ・アンイエルダール
(日)林穂之香
「この結果をしっかりと受け止めるしかない」
試合後のフラッシュインタビュー。熊谷紗希は顔を斜め上に向けながら、言葉を絞り出した。両目にあふれんばかりの涙をためて、それがこぼれ落ちないように。
「結果がすべてです。本当に悔しいですし、この状態で振り返るのは難しい」
キャプテンとしてこのチームの先頭に立ってきた。
「それでも自分たちにはチャンスもあったし、最後は本当に取り返すチャンスはあったけれど、最後に届かなかったのが力のなさだと思います」
前半はシュートゼロに抑え込まれた。32分にはFKからクリアしきれずに蹴り込まれて先制を許すと、51分にはCKが長野風花の手に当たった不運なPKによって2点差に広げられた。
スウェーデンは高さと速さが持ち味。3バックの中央に立った守備のリーダーとして、その対策に集中していた。しかし、苦しい展開に。
「自分たちが少なからずチャンスを作れていたけれど、警戒していたセットプレーから2失点する形になって、もう少し後ろが踏ん張れれば前にチャンスができたかなと思う」
後半には再三、攻め込んで、藤野あおば、長谷川唯らがゴールに迫り、植木理子もPKを獲得するなどの好機があったが、いずれも決まらず。87分に林穂之香が決めて1点差に追いつき、10分以上のアディショナルタイムでも攻めたが、わずかに及ばなかった。
「とにかく悔しいです。一緒に戦ってくれた仲間に感謝したい」
「もう少しみんなとやりたかったし、少しでも前に進むことが日本の女子サッカーの未来につながると思っていたから、少しでも前に進みたかった」
2011年の世界一を知る唯一のメンバーは、最後まで仲間の背中を押した。
「この結果をしっかりと受け止めるしかない」
自分に言い聞かせるように、決然と話した。その先に、次の未来が待っている。