上写真=長野風花は初戦の韓国戦で決勝ゴール。得点力のあるボランチとして存在感を示した(写真◎小山真司)
「いい決断をして、勝利につなげたい」
2月3日のAFC女子アジアカップ2022準決勝。中国と戦った日本は2度のリードを守りきれずに延長戦まで戦って2-2に追いつかれ、PK戦の末に敗れた。
あれからおよそ半年。ついにリベンジのチャンスがやってくる。7月26日のE-1選手権第3戦だ。日本は引き分け以上で優勝だが、目指すは勝利だ。
「アジアカップでもそうでしたが、簡単な戦いにはならないと思います」
今回のE-1選手権で中国は1勝1分け。連勝こそならなかったが、第2戦の韓国戦では先制されながら追いついていて、アジアカップの日本戦と同じように粘りが身上だ。
「必ずリベンジしなければいけない相手です。厳しい時間、難しい時間もあると思いますが、中盤から声をかけて流れを読んで、そのときそのときでいい判断、いい決断をして、勝利につなげたいと思います」
その中盤でボランチとしてこのチームの屋台骨になるのが、林穂之香とのペア。2018年のU-20女子ワールドカップで世界一になったコンビだ。
「アンダー世代からダブルボランチを組んでいて、お互いにいい距離感を作ってカバーし合おうと話しています。穂之香の位置を見てプレーするようにしています」
特徴を引き出し合うことで、中盤の支配力がどんどん上がっていく。2人だからこそできることがある。
「穂之香はミドルシュートをはじめ、攻撃に関わるところは常に意識していて、私も似ています。タイミングを見ながら自分が後ろでバランスを取ったり、逆に私がボールに関わることもしたいと思っていて、そこは穂之香もわかってくれてバランスを取ってくれます。お互いがお互いの良さを常に出し合おうと意識しています」
2人の一体感がやがて、チームの結束へと広がっていく。1年後にワールドカップを戦うなでしこジャパンのコアになる。
「中盤でコントロールしながらチャンスを作ったり、守備の面でも中盤での戦いで勝って支配して、流れを良くするイメージがあります。まだ足りないものしかないので、伸ばしていければいいと思います」
そんなボランチとしての理想像を求めて、移籍を決断した。この大会を終えるとアメリカに渡って、NWSLに所属するノースカロライナ・カレッジでプレーする。
「日本で体感できないスピードや強さ、足の長さは国際大会や国際試合を経験して感じることでした。日常的にそういう仲間とプレーすることで幅が広がると思って決断しました」
新たな挑戦に勢いをつけるためにも、東アジアの女王の座をつかみ取る。中国に勝って優勝だ。
「みんなでコミュニケーションを取ってポジティブに戦っていきたいと思います。中国はフィジカルが強いし体型も背も大きくてしっかりしていて、そこで手こずって難しい戦いになると思います」
今大会の初戦では、韓国に一度は1-1と追いつかれながら、65分に決勝ゴールを奪っている。植木理子が抜け出したカウンターに遅れずについていって、確実に蹴り込んだその右足で、今度は中国を圧倒してみせる。