上写真=先制した宮澤ひなたを中心に笑顔。なでしこジャパンが韓国に勝ちきった(写真◎小山真司)
■2022年7月19日 E-1選手権 女子 第1戦(カシマ/2,221人)
日本女子 2-1 韓国女子
得点者:(日)宮澤ひなた、長野風花
(韓)チ・ソヨン
「もう1点取って勝ちきれたことは評価したい」
「パーフェクトではなかったですけど、韓国に勝てたのはプラスにとらえていいと思います」
キャプテンを務めた清水梨紗は、安堵の表情だった。
キックオフからしばらくは韓国に押し込まれる時間が続くが、20分過ぎからは日本が落ち着きを取り戻した。長野風花、林穂之香のボランチを中心にボールを動かして、サイドバックの清水梨紗、サイドハーフの成宮唯を使いながら右サイドから押し込んでいく。
そのリズムのまま、33分に先制に成功する。右サイドで猶本光が送った縦パスが相手にクリアされるが、それがまた相手に当たって成宮の足元へ。マイナスへの折り返しを宮澤ひなたが蹴り込んで、ようやくゴールを割った。
今年1月にAFC女子アジアカップで対戦したときにも、先制したものの追いつかれて1-1で引き分けている。前半は1-0でリードして、ここからの試合の運びが試されたが、またも同じ道をたどった。59分、ゴール前でチ・ソヨンにボールが入ると左右に振り回されて蹴り込まれ、同点に追いつかれた。
ただ、ここからが違った。65分、カウンター気味に右サイドに飛び出した植木理子がドリブルで右サイド深くまで入り込み、DF2人の間を巧みにすり抜けてマイナスへ。これを長野が下がりながら右足で蹴り込んで、勝ち越しゴールを決めてみせた。
難しかった前半から後半に向けて、池田太監督は奪ったボールをいかに相手陣内に運ぶかについて修正を施していた。
「奪ったボールを逆サイドに逃げさせられれば、スペースがあったので、前進できる道が広がるという話をしました」
まさに右サイドのオープンスペースに送ったパスから実った勝ち越し点になった。
韓国はここから1点を奪うために、さらにロングボールを連続して送ってセカンドボールを拾う戦いを強めてきたが、日本は最後まで体を張ってブロック。81分、83分に至近距離から狙われたものの、コースを限定してシュートミスを誘った。
「残念でした。あのような形で負けるとは思わなかった。ずっと私たちがリードしていたが、決定力が足りなかった」
韓国のコリン・ベル監督はそう憤慨した。確かに韓国が多くのチャンスを迎えたが、日本の守備の集中力が上回った。
「追いつかれても、もう1点取って勝ちきれたことは評価したい」と池田監督。韓国のロングボールへの対応で集中して乗り切った選手たちを称えた。
「前から奪いに行ったところで韓国が長いボールを入れてくるので、セカンドボールの対応に回りましたが、特別崩されているネガティブな要素はそこまでありませんでした。自陣でのプレーは多かったけれど、入ってきたボールにしっかり対応したのは成果だと思います」
成長の跡を見せながらリベンジを成功させて、大会連覇へ白星スタートを切った。
現地取材◎平澤大輔 写真◎小山真司