上写真=熊谷紗希は守備で「チャレンジしたい部分がある」(写真◎スクリーンショット)
「どうやってチームとして戦っていくか」
「今大会は不甲斐なさしかない。今日の中国に勝てないようじゃ、世界で勝つのは程遠いと正直、思う」
ぴしゃりとそう口にしてから、およそ4カ月。なでしこジャパンのキャプテン、熊谷紗希は、アジアカップで2度のリードを追いつかれ、PK戦の末に中国に敗れた準決勝の無念を忘れない。
所属するバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)ではチャンピオンズリーグでベスト8。世界最高峰の戦いの厳しさを改めて知った。だから今度は、ワールドカップまで1年と少ししか時間がないなでしこジャパンの成長のために、危機感とともに臨む。
「ワールドカップまであと1年と少しで、代表としてできる時間は限られています。その中で今回、ヨーロッパで、ヨーロッパのチームと戦えることはなかなかできることではないので、貴重な時間です。次に進むために重要な時間だと思っています」
セルビアとフィンランドが今回の相手。ワールドカップ予選でドイツを破った前者、EUROの直前のテストマッチとして戦う後者と、どちらも骨のあるチームだ。
セルビアにはバイエルンのチームメートであるFWヨバナ・ダムニャノビッチがいる。「特徴は前線でのキープ力や体を使った反転です。決定力も高いので、相手にする際には抑えていきたい」と警戒しつつ、同僚対決を楽しみにしている。
とはいえ、今回の最大のテーマは「チームとしてどう戦うか」にある。
「ヨーロッパ相手ということもありますけど、どうやってチームとして戦っていくかが重要になります。時間のない中で、1年後のワールドカップまでに完成度を上げるために、どう戦うのか。最初はエラーもあると思いますけど、やるべきこと、次につながるチャレンジをここではしていきたい。セルビア戦では特に、監督がやっていこうとする形をできる限り選手が全うすることが大事です」
多くの選手が口をそろえるのは、セルビアのパワーへの警戒だ。それを自分たちのスタイル――池田太監督の言う「奪う」――で退けて、勝利を目指す。すべてはワールドカップで勝つために。