AFC女子アジアカップでベスト4に進出したなでしこジャパン(日本女子代表)は、3連覇へ向けて2月3日の準決勝で中国と戦う。林穂之香は初戦で負傷したあと、しっかり治して準々決勝のタイ戦でピッチに帰ってきた。これまで休んだ分も、チームを助けてみせる。

上写真=林穂之香が準々決勝でようやく復帰。3連覇へ向けて頼もしい存在が帰ってきた(写真◎AFC)

「どこかでスプリントをかけて」

 ケガの功名、となればいい。

 林穂之香は大会初戦のミャンマー戦で先発しながら、相手との接触で右足首を痛めて42分でピッチを退いた。復帰までには時間をかけ、グループステージの2試合は出場を控え、準々決勝のタイ戦で3-0でリードしていた58分に戻ってきた。中2日の過密日程でローテーションしながらの戦いとはいえ、暑さも緊張もあって多くの選手たちに疲労は溜まっている。

 だからこそ、ケガとはいえほとんど出場していない林は「コンディションは万全です」と胸を張って、ここからチームを助ける思いを口にした。

「万全の状態なので、ボランチとしての安定性と守備の強度についてはしっかりやっていきたいと思います。攻撃の部分でも得点のチャンスを多く作りだせるようにいい準備をして、いいポジションを取って攻撃を活性化できるようなプレーがしたい」

 単に活性化するだけではなく、ゴールそのものも奪い切りたい。ボランチでは猶本光も隅田凜もゴールを挙げている。

「結果的にチームが勝てればいいので、焦って狙いすぎるのは良くない」というスタンスは変えないが、次の相手は中国だ。ここまで大量得点を挙げてきたような相手とは違う。

「ゴールは常に狙っていますし、拮抗した試合ではボランチから得点が生まれることはすごく狙っています」

 中国はタフな相手だから、まさにつばぜり合いの試合になるかもしれない。この言葉が予言になるだろうか。大会を通じてチームが成長している実感があるから、不安はない。

「試合を重ねていくうちに、攻撃の面ではペナルティーエリア付近でどこを取ればいいか、ワンタッチを入れたりサポートを使ったりというところが合ってきました。チームになってきたと感じるのは、経験を重ねて良くなっている部分ですね」

 中国でやっかいなのが、ワン・シュアンの存在だろう。前線で浮遊しながら相手が嫌がる場所に潜り込み、決定的な仕事をする背番号7。5ゴールを挙げて、チーム内のトップスコアラーだ。ボランチの選手としては、これまでの試合よりも自分の背中側のスペースを使われるから、細やかに対応する必要がある。

「中盤に降りてきたりするプレーについては、今日の練習でもディフェンスラインやボランチ同士、フォワードも含めて話し合いながら、コミュニケーションを取ってしっかり対応していくことを確認しました。しっかり自分で見て判断することも大事だし、声で助け合いながら仕事をさせないようにしていきたい」

 後ろばかりを気にするだけでは勝てない。林がベンチから見守ったグループステージ第3戦の韓国戦では、後半に前への勢いをそがれて同点に追いつかれてしまった反省がある。

「押し込まれているときは割り切って、守備の時間なんだと共通意識を持って耐えることが大事です。あとは、流れを一つ持っていくために、どこかでスプリントをかけて攻撃に厚みを増したり、流れを変えるためにシュートまでいくことが必要です。相手の時間帯で点が取れればチームとして助かるので、苦しい時間帯でどれだけ切らさずに前に運んでいけるかが大事だと思います」

 押し込まれても焦らずに、前にパワーをかけていく。何しろ日本には、コンディション万全の林がいるのだ。これまでの分も、前へ前へと突き進んでいく。


This article is a sponsored article by
''.