上写真=長谷川唯は初戦の2得点1アシストでMVPに。韓国戦でも暴れる!(写真◎AFC)
「得意とするポジションに入ったことで」
なでしこジャパンは過密日程の女子アジアカップをローテーションしながら戦っている。長谷川唯は初戦にフル出場、2戦目はベンチに控えた。休養十分で第3戦の韓国戦を迎えることができる。首位突破をかけた決戦だ。
その韓国の、長谷川への警戒は高まっているだろう。第1戦のミャンマー戦で見事な2ゴールを披露しているからだ。
22分に見事なクロスから植木理子の頭に合わせた先制アシストでスイッチオン。47分には、宮澤ひなたの縦パスを植木がフリックしたボールを受けて抜け出し、余裕たっぷりにGKの動きを見極めて、左に送り込んだ。
「1点目は縦に入ったボールに反応して、決められました。ファーストタッチで余裕ができたので、どこにでも蹴ることができましたけど、左の方がより空いていたので左に決めました」
53分には猶本光がFKを直接決める日本代表初ゴールで、3-0に。猶本の横で長谷川も一緒に構えていて、「蹴る?」と猶本に声をかけて促している。これもちょっとした「アシスト」。
成宮唯にも代表初ゴールが飛び出して4-0までリードを広げたあと、90+2分にとどめを刺した。左の遠藤純からのパスをワンタッチで運び出すラインブレイクから、GKの出鼻をあかすように流し込んだ。
「2点目は自分が思っていたスピードと場所にいいボールが来て、イメージ通りファーストタッチで抜け出して、すべてが理想的でした」
遠藤からのパスはかなり強かったが、その勢いを利用してワンタッチで前に送り込む、自分へのパスのような形で抜け出した。
「相手が食いついてくるので、ワンタッチで抜け出すイメージは最初からありました。もしパスが弱かったらまたディフェンスを見て変えるつもりでしたけど、すべてがイメージ通りでしたね」
どちらのゴールも、技術も判断もパーフェクトだったが、ポジションチェンジが功を奏したという。
「後半に得意とするポジションに入ったことで良さが出たと思います」
サイドハーフから最前線への配置転換で、植木の周辺を漂うように、空いたスペースに浮遊した。
このミャンマー戦も、長谷川は出場しなかったが次のベトナム戦も、相手はゴール前を固めてきてスペースが消されていた。だが、次の韓国はそこまで極端な戦いは選ばないだろう。そこに、長谷川のアドバンテージがある。
「韓国の選手の特徴は、球際にガツガツ来るところです」
「韓国のようにしっかりプレッシャーをかけてくる方がやりやすいと思います」
前に出てきてくれれば裏が空く。そこは長谷川の大好物のエリアである。
ハードに戦える植木に、得点こそないが抜群のセンスが光る田中美南、新型コロナウイルス陽性判定を受けたことでベンチ外だった岩渕真奈も帰ってくる。菅澤優衣香のパワーも頼もしく、さらには長谷川もいて、前線の組み合わせに可能性は広がる。
池田太監督が長谷川をどこで起用するかに注目が集まるが、初戦のゴールで心身ともに高まっているいま、韓国を倒すゴールを期待して良さそうだ。