なでしこジャパン(日本女子代表)は明日27日に女子アジアカップのグループステージ第3節、韓国戦に臨む。現在首位の日本は引き分け以上で1位通過が決定。仮に敗れれば準々決勝で好調オーストラリアと対戦することが濃厚で、是が非でも勝ちたいところ。池田太監督体制となって最初の試金石とも言える試合のポイントを整理する。

上写真=隔離が明け、チームに合流した岩渕真奈(左)と長谷川唯(写真◎JFA)

文◎西森 彰

相手は気持ちが強く技術が高い

 なでしこジャパンはミャンマー、ベトナムに連勝を飾り、ベスト8進出を決めた。離脱していた岩渕真奈(アーセナル/イングランド)以外のフィールドプレーヤーを全員使い、ゴールキーパーも池田咲紀子(三菱重工浦和レッズレディース)の登場を残すのみだ。引き気味に構える2チームから8ゴールを奪い、最終戦で引き分け以上ならグループC1位通過と、順調に好条件を作り上げた。

 ケガによる長期離脱を克服して代表のユニフォームに再び袖を通した乗松瑠華(大宮アルディージャVENTUS)は、ベトナム戦に出場。「ピッチに立ったその時というより、その日のバスの移動だったり、自分の荷物を準備したりから、ワクワク感が……。代表メンバーの一員としてプレーできることが、うれしいというか、幸せだなと感じていました」。

 今大会では、乗松と同じように回り道をしてきた選手の活躍が目立つ。代表初ゴールを挙げ、自身のキャリアを感慨深げに振り返った猶本光(三菱重工浦和レッズレディース)、成宮唯(INAC神戸レオネッサ)などが結果を残し、チーム内の競争がいい意味で活発化していそうだ。

 好ムードの中で臨む、グループリーグ最終戦は韓国が相手だ。今大会参加国中、オーストラリアに次ぐ難敵と思われる。元イングランド代表のコリン・ベル監督を招聘して、着実に成長。五輪予選では、中国と対戦し、タイスコアからの延長戦で決勝点を奪われたが、内容自体は悪くなかった。その後、アメリカ、ニュージーランドなど五輪出場国との親善試合2連戦×2を行なうなど、周到な準備を進めてきた。

 ここまでの対戦成績は、17勝10分け4敗と日本がリードしているが(筆者手元集計)、ここ最近10試合は1点差以内の接戦で、世界大会の予選では前回大会、その前のリオ五輪予選ともに引き分けている。I神戸で一緒にプレーした選手も多い三宅史織(INAC神戸レオネッサ)は、韓国のイメージとして「技術が高い選手、気持ちの強い選手が多い」と評する。

 今大会、特にミャンマー戦の前半はもたついていたが、10番のチ・ソヨンをベンチスタートさせるなど、選手の起用法も試験的なものに見えた。単純にチーム状態が下降線と決めつけて、油断するわけにはいかない。

 まず、チ・ソヨンからの組み立てをどれだけ抑えられるかが、大きなポイントだ。遠目からでも狙える威力と正確さを備えたシュートがあり、周囲の選手に決定的なパスも通す。基本はボランチだが、ポジショニングは流動的で、大きな裁量権を与えられている。相手が嫌がるポイントを抜け目なく突いてくる選手が、日本を知り尽くしているのだから、マークの受け渡しに失敗すれば、一瞬にしてピンチとなる。

 13番イ・グンミンはキープ力があり、前線でも機能するが、今大会は23番ソン・ファヨンの後ろから機を窺っている。右サイドハーフは2戦連続でFWタイプの11番チェ・ユリが先発。7番イ・ミナは出場があれば、このあたりか。INAC神戸レオネッサでプレーした選手が多く、中盤でチ・ソヨンとコンビを組む8番のチョ・ソヒョンもそのひとり。代表133キャップは、チ・ソヨンを上回る。こちらは中央から左が主戦場で、9番ヨ・ミンジと入れ替わり、最左翼に出るケースもある。


This article is a sponsored article by
''.