上写真=猶本光が代表初ゴールの喜びを語った(写真◎スクリーンショット)
■2022年1月21日 女子アジア杯GS第1戦(インド・プネー/無観客)
日本女子 5-0 ミャンマー
得点者:(日)植木理子、長谷川唯2、猶本光、成宮唯
「あまり緊張せずに」
猶本光の日本代表初ゴールは、美しい直接FKだった。
「チームの助けとなる1点を取れたことがすごくうれしいですし、チームメートも喜んでくれて、すごく胸が熱くなりました」
2-0でリードした53分。ゴールに向かってやや左寄り、ペナルティーエリアのすぐ外でFKを得た。ボールの元には猶本と長谷川唯。どちらが蹴るかは決めていなかったという。長谷川に「蹴る?」と聞かれて、「蹴らせて」と迷わず答えた。
「フリーキックはいつも練習している壁よりも低く見えたので、あまりピンポイントで狙いすぎずに枠にしっかり飛ばすことを考えていました。枠に行けば入ると思っていたので、あまり緊張せずに蹴ることができました」
意外にもこれが、日本代表としての初ゴール。実に7年越しの喜びとなった。
「20歳のときに初めてなでしこの試合に出てから長くかかってしまったけど、新しいなでしこの公式戦初戦でチームの助けとなるゴールを決めることができて、すごくうれしいです」
大会初戦、しかも先発の林穂之香が負傷したため、42分に急きょ出番が巡ってくる難しいシチュエーション、という見方は、本人のそれとは違った。
「途中から入って流れに乗るというのは、ドイツにいたときに学んできました。だから、あまりどうしようかと思うことはなくてすんなりと入れました」
経験はどこで生きるかわからない。
試合に出るまでは「もっと2次攻撃、3次攻撃にいける」と思って見ていて、特に1-0で折り返した後半はチーム全体が攻撃への意識をより高めたことで、猶本もゴールへのアクションに絡んだ。特に3点目は理想的。右サイドの高い位置でコンビネーションプレス、奪ったあとに足を止めずに右に出てポイントになり、そこから菅澤優衣香を経由して成宮唯がフィニッシュ、4点目が生まれている。
「奪ったあとに相手の守備陣形が崩れてフォワードがあくという情報があったので、そこに入れて組み立てることをイメージして入りました。でも、あまり縦、縦になりすぎると混雑してしまうので、相手を揺さぶって疲れさせるためにサイドに振ってもいいかなとバランス見てやっていました」
経験が余裕を生んだ。
「センターバックと話しながら、リスク管理は終始やっていました」と後方への警戒も十分。緊急投入にも動じず、FKの場面で緊張もせず、そのキャリアからくる心のたくましさをチームのために存分に生かしながら、アジアの頂点へと一歩一歩進んでいく。