上写真=初日の練習は「いい雰囲気でできた」と語った長谷川唯(写真◎JFA)
海外でやってフィジカルで負ける印象は少ない
なでしこジャパンは池田太監督体制になり、11月25日に初めての国際試合に臨む。来年1月には2023年の女子W杯出場権のかかった『AFC女子アジアカップインド2022』が控えており、今回の欧州遠征は重要な機会だ。
とくに海外でプレーする長谷川唯にとっては大会までにチームコンセプトを共有し、確認する場は限られる。ただ、初練習を終えた感想は「ボールを回すためにどう形を作るか。立ち位置のところで、基本的な分を確認できました。試合では相手もいるし、状況も違いますが、全員が共通意識を持つ上で、そういう(=必要な)練習ができました」と初日にしていい雰囲気でトレーニングできたと明かした。
代表に初招集されたときから常に「チームを勝たせる存在になる」との思いでプレーしてきた長谷川だが、実際に中堅となり、「自分も経験を積んで、サッカーに対する知識も増えてきたと思います。年齢というよりも試合を重ね、色々な監督とサッカーをして得たので、それを伝える役割はあるとは感じます」と話し、自身のプレーでチームに還元できるものをしっかり伝えたいとした。
現在所属するウェストハムでは日常的に大柄な選手と対戦し、パワーとスピードの面で日本とは異なるサッカーをしているが、「海外で今までやってきて、フィジカルで完全に負けるという印象は少ないです。タイミングや予測でカバーできるというのは元々持っていましたが、イギリスで速くて強い相手とやって、確信が持てました」と、日本の弱みと考えられるものについてもポジティブに語る。25日のアイスランド戦はまさにそういう高さ、パワーのある相手との対戦となるが、「クロスに対して強い選手がゴール前に入ってきても、やり方次第で、マークの仕方や(クロスを)上げさせない守備ができると思う。そこまで気にしなくても良いかなと思います」と適応できると説明した。
現在のチームのコンセプトはボールを積極的にボールを奪って主導権を握ることだ。もとより指導は受けたことはないものの、池田太監督に対してサッカーに熱い人という認識はあったという長谷川は「明るさや熱いところ、サッカーへの情熱は挨拶ひとつでも、少し話すだけでも伝わってきて、イメージ通りでした。良い雰囲気のチームが作れそうだと、練習をして感じました」と改めて指揮官の印象を語った。
なでしこジャパンは10年前に世界一に輝いたものの、以降は世界に進歩のスピードに遅れを取ることになった。東京五輪で浮き彫りになった問題をいかに修正し、世界に追い付き追い越していくか。目標達成までの過程で、世界で戦う長谷川の役割も大きいものとなりそうだ。