なでしこジャパン(日本女子代表)は8日、パラグアイ女子代表と約1年ぶりとなる対外試合を戦った。結果は7-0の圧勝。攻撃力が爆発し、ゴールラッシュを実現したが、試合後、高倉麻子監督は「高いレベルを目指すならまだまだ」と気を引き締めた。

上写真=チームの4点目を挙げた菅澤優衣香を岩渕真奈が祝福(写真◎Getty Images)

■2021年4月8日 国際親善試合(@ユアスタ/観衆818人)
日本女子 7-0 パラグアイ女子
得点:(日)南萌華、岩渕真奈、OG、菅澤優衣香、岩渕真奈、籾木結花、田中美南

・日本女子代表メンバー:GK池田咲紀子、DF清水梨紗、宝田沙織、南萌華、鮫島彩、MF北村菜々美(66分:籾木結花)、中島依美、三浦成美(80分:林穂之香)、杉田妃和(85分:木下桃香)、FW岩渕真奈(66分:田中美南)、菅澤優衣香(66分:浜田遥)

・パラグアイ女子代表メンバー:GKイサベル・オルティス、DFリンピア・フレテス(77分:ラウラ・ロメロ)、ロレーナ・アロンソ、ラウリエ・クリスタルド(17分:デイシー・オヘダ)、タニア・リソ(90分:ソフィア・アルミロン)、カリナ・ベガ(71分:ミルタ・ピコ)、ダイアナ・ボガリン、MFファビオラ・サンドバル、マルタ・アグエロ(46分:ダミア・コルタサ)、FWグロリア・ビジャマジョル、ナタリア・ペーニャ(71分:ラウラ・ロメロ)

重要なのは「崩す前に狙う」姿勢

 なでしこジャパンにとって久々の国際親善マッチだった。東京五輪の開幕が3カ月後に迫る中で行なわれた試合。言うまでもなく、極めて重要なゲーム。結論から言えば、相手との実力差が大きかったこともあり、日本にとってトライゲームになった。

 ほぼ敵陣でゲームを進める中で、連係を確かめていく。集めたゴールは、7つ。

「前半から自分たちが運んでいるシーンが多かったですけど、決定力というのは私自身はまだ不満が残ります。そこは課題です。守備に関してはずっとやり続けている、全員で連動して奪いどころを共有していくことは90分通してできたのかなと思います。ただもっと上のレベルを目指していくことを考えればさまざまなエラーも出たと思います。そのへんは選手と話をしながら精度を上げていきたい」
 
 高倉麻子監督は大勝を導いた選手をほめながらも、手綱を締めることも忘れなかった。ゴールを振り返れば、まず開始6分の南がこぼれ球を押し込んで先制し、そこから岩渕、岩渕のヘッドが誘発したOGで前半のうちに3-0とリードを奪った。さらに後半に入ると勢いを加速させていった。幅を取り、合間で受け、ボールを走らせて攻撃を形づくる。菅澤、岩渕、籾木、田中で4ゴールを追加。危なげなく勝利をモノにした。

 とくに目立ったのが、相手を見ながら最適な場所でボールを受ける意識とパスのスピートと長さの変化だ。とりわけパスの長さについて高倉監督がこだわってきたところでもある。

「パススピードに関してはだいぶ前からアプローチはしていましたが、なかなか上がってこない中で、昨年11月、12月にまた集めたときに、シンプルにボールに当てる音が変わってきたと私たちも感じていました。今回の招集でもそういう話をしました。自分たちが
そのような話をしていました。自分たちがボールを大事につないでサッカーをしていこうというと、どうしても近い距離にパスがいきがちなんですが、ゴールを目指していくという意味では長いパスのサッカーの一部だよという話の中で、選手がそれを理解し、長短の使い分けをして、組み立てができたと思います」

 またシュート意識についても「崩し切ってからではなく、もっとシュートを打ち込むことが必要。その意識を高めてほしい」と、どん欲にゴールを目指す姿勢をもっと強めてほしいと、指揮官は選手に注目をつけた。

 収穫があり、課題もあった試合。五輪に向けて文字通りの強化試合であり、テストマッチになった。次は五輪と同じ中2日の日程で11日にパナマ女子代表と対戦する。

「ゲームは攻守ともに狙ったことを選手は出そうとしてファイトしてくれたと思います。やろうとしたことを表現できていたとも思いますけども、フィニッシュで取れないところもありました。そこはやはり課題としていきたいと思います」

 パナマ戦も力の差を考えればおそらく日本が優位に試合を進めることになるだろう。重要なのは、そこで何を試し、何を得るか。この日、確認した問題点を踏まえ、フィニッシュ精度にこだわり、パスやポジショニングのズレの修正し、積極的にシュートを打っていく。高倉監督と選手たちは、3カ月後の舞台で勝ち切るために、限られた活動機会にやれる限りのことをやるつもりでいる。


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