日本サッカー協会(JFA)は22日、臨時理事会後にオンラインでの会見を開き、2023年のFIFA女子ワールドカップ招致から撤退すると発表した。国際サッカー連盟(FIFA)が今月10日に公表した評価リポートでの評価がオーストラリア/ニュージーランドに及ばず、東京五輪開催が延期したことで短期間に女子の主要2大会を開催することへの抵抗感も強まっていたという。

上写真=2011年に女子W杯で優勝した日本。長年にわたり、自国開催実現に向けて準備を進めてきたが…(写真◎Getty Images)

東京オリンピック延期で流れが変わった

 日本サッカー協会(JFA)は、今月25日のFIFAカウンシルでの開催地決定を待たずに、2023年女子ワールドカップの招致から撤退すると発表した。

 オーストラリア/ニュージーランド(共催)、コロンビアとともに日本は開催地に立候補していたが(先日、ブラジルが断念)、招致ブック(開催提案書)や視察をもとにFIFAが今月10日に発表した評価レポートでは、オーストラリア/ニュージーランドの評価が日本のそれを上回っていた。

 JFAは撤退を決めた経緯について、以下の通り理由を説明した。

 まず、「多くの国で大規模大会の開催が可能となる共同開催が近年の世界のトレンドになりつつあること」。次に、「6月8日にブラジルが立候補を取り下げたことで南米サッカー連盟の票の一本化につながり、ASEANサッカー連盟がオーストラリア/ニュージーランドへの支持を表明したこと」。そして「年齢制限のないチームで女子の世界一を決める大会は、FIFA女子ワールドカップとオリンピックの2つがあるが、新型コロナウイルスの影響によってその女子サッカー最高峰を決める2つの大会が、短期間(東京五輪が2021年、女子W杯が2023年)に同じ国で開催されることに対する抵抗感が強まったこと」。

 コロンビアやオーストラリア/ニュージーランドはこれまでに、女子も含めた年齢制限のないFIFA大会の開催を経験しておらず、2023年に開催されれば、南米や南半球初のFIFA女子ワールドカップ開催となる。競技の普及という観点から見ても、日本よりも未経験国のほうにアドバンテージがあった。

 これらの状況を鑑み、また票読みを進める中で、今回の招致は難しいとの結論に至った。

「苦渋の決断でした。五輪が1年延びたことにより流れが変わったことを認識していました。仮に日本がまったく支持されないまま負けた場合にインパクトがとても大きなものになるということも考えました。その中でアジアが一つになるということを示すことに意味があり、このタイミングでの撤退が、次につながると判断しました」

 田嶋幸三会長も熟慮の末の決断だったと説明した。

 2013年12月のJFA理事会で、2023年のFIFA女子ワールドカップの開催国への立候補すると決議されて以来、6年半に渡り取り組んできた招致活動は、開催地決定直前の撤退で幕を閉じることになった。

「私自身も責任を感じていますが、招致活動すべてが無駄だったとはまったく思っておりません。女子サッカーの発展を願っておりますし、そのためにこれからも全力でサポートしていきます」

 2023年以降の開催国立候補についてはまったくの白紙だが、田嶋会長は「いつとは私の口から軽々には言えません。ただ、日本は女子ワールドカップを開催すべき国だと思っています」と話した。


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