上写真=数々の好セーブやPKストップで勝利に貢献した櫻庭。試合後にスタンドからの声援に応える(写真◎石倉利英)
■2024年4月27日 J3リーグ第11節(@Axis:観衆1,711人)
鳥取 2-1 琉球
得点:(鳥)温井駿斗、田中恵太
(琉)富所悠
「残りの時間をどれだけ大事にできるか」
2-1とリードした後半に数度の得点機を生かせなかった鳥取は、後半アディショナルタイムにPKを献上し、決定力不足の代償を払うことになるかと思われた。しかし、琉球FW白井陽斗がキッカーから見て左下を狙ったキックを、櫻庭が見事にセーブ。こぼれ球に詰めてきた相手のシュートも防いで雄叫びを上げる守護神に、チームメイトが次々と駆け寄って喜びの輪ができた。
反省を生かしたPKセーブだった。直近の試合である24日のJリーグYBCルヴァンカップ・浦和レッズ戦で、17分にFWチアゴ・サンタナに2失点目となるPKを決められており、「少し早く動き過ぎてしまったという反省があったので、できるだけ我慢して、自分が信じた方に思い切って飛ぶことを考えた」という。
キッカーの心理にも思いをめぐらせていた。「PK自体は確実に僕たちが不利な状況ですが、絶対に相手の方がプレッシャーがかかる場面。2-1という状況でもあったので、精神的には優位だと思い、信じた方に飛びました。相手も(ゴールの)上に蹴るのは、なかなか難しいと思うので、低く飛んだ」と語るように、落ち着いて状況を見極めていた。
ジャイアントキリングを狙った浦和戦は立ち上がりの12分に先制点を奪われ、その後も失点を重ねて2-5で大敗。試合後は「できるだけ無失点で長い時間、粘りたかったです。自分にがっかりしている」と悔しさをかみ締め、リーグ戦に向けて「切り替えていきたい」と語っていた。
しかし、この日も立ち上がり、それも開始39秒で失点。くしくも自身の背番号と同じ数字で均衡を破られたが、「開始1分で先制される状況は、いつだってあり得るので、決して慌ててはいけない。もちろん失点は良くないですが、むしろ89分プラスアルファ、時間が残っていると捉えて、残りの時間をどれだけ大事にできるかと考えて声を掛けた」と語るように、すぐに気持ちを切り替えた。
その後もピンチの連続だったものの、再三の好セーブで最少失点に抑え、最後にはPKストップ。まさに守護神という活躍を見せ、試合後はスタンドの観客から何度も送られる「櫻庭、ナイスセーブ!」の声に笑顔で手を振っていた。
取材・写真◎石倉利英