11月12日の明治安田生命J3リーグ第35節で、ガイナーレ鳥取とAC長野パルセイロが対戦した。立ち上がりに長野がPKで先制したものの、鳥取が前半のうちに逆転。後半も立ち上がりに長野が得点して追い付いたが、その後は鳥取が多くのチャンスを作った。しかし終盤に長野が逆転ゴールを決め、シーソーゲームを制して3連勝を飾っている。

上写真=鳥取と長野は激しい点の取り合いに。長野が終盤の決勝ゴールで3連勝を飾った(写真◎石倉利英)

■2023年11月12日 J3リーグ第35節(@Axis:観衆1,190人)
鳥取 2-3 長野
 得点:(鳥)東條敦樹、田村亮介
    (長)近藤貴司2、小西陽向

耐えて87分に逆転ゴール

 前日までの雨はやんだものの、公式記録で気温13・9度という肌寒さの中で始まった一戦は、立ち上がりに長野が先制する。MF小西が右サイドからドリブル突破を図り、エリア内で抜け出したところで、鳥取DF文仁柱に後方からユニフォームを引っ張られて倒れ、PKを獲得。これをMF近藤が決め(得点時間は7分)、早くも均衡を破った。

 鳥取は攻撃で良い形を作れない時間が長く続いたものの、徐々に相手ゴールに迫るシーンを増やすと、36分に同点ゴール。複数の選手が絡んだ鮮やかなコンビネーションで守備網を揺さぶると、最後はMF牛之濵のパスに合わせてエリア内右サイドに走り込んだMF東條が、右足で蹴り込んで1-1とした。

 鳥取は38分にもFW重松のパスから東條がGKと1対1になる決定機を作ったが、長野GK金珉浩に阻まれた。それでも攻撃の勢いは衰えず、42分には中盤でこぼれ球を拾った東條のスルーパスを、MF田村が決めて逆転に成功する。

 先制しながらもリードされて後半を迎えた長野だが、前半と同じく立ち上がりの47分に得点して追い付く。左サイドから敵陣深くまで侵入し、近藤のセンタリングを小西が右足ボレーで合わせた。

 その後、前半あまり吹いていなかった風が強くなり、風上となった鳥取が徐々に主導権を握る。しかし、74分にDF田中がセンタリングと見せかけてゴールを狙ったシュートは、GK金珉浩のセーブに遭う。76分にはMF世瀬のロングパスで最終ラインの背後に抜け出した田村が、フリーで右足を振り抜いたが、クロスバーに当たって決まらない。

 この直後、鳥取はMF長谷川、FW吉井、FW髙尾を一度に交代で送り込み、さらに攻撃の圧力を強めるが、耐えた長野が終盤に勝ち越し点を奪う。87分、エリア外右サイドで自らのシュートのこぼれ球を拾った近藤が、切れ込んで左足でシュートを放つと、鳥取の世瀬に当たって軌道が変わったボールが、ニアサイドの空いているコースに飛んでネットを揺らした。

 前日にJ2昇格圏内の2位・鹿児島ユナイテッドFCが敗れ、勝てば残り3試合で勝ち点6差となる鳥取は試合終了間際、DF飯泉を前線に入れてパワープレーでゴールをこじ開けようとする。FKやCKのチャンスではGK糸原もゴール前まで攻め上がってゴールを目指したが、追い付くことはできず、浮上のチャンスを逃す痛恨の敗戦となった。

 長野は、0-2から3-2と逆転した前節のカマタマーレ讃岐戦に続く逆転勝利で3連勝とした。試合後の会見で髙木理己監督は「鳥取戦で勝つには、0か100だと思っていました。50のフットボールを選択してしまうと、鳥取さんのストロングポイントを150出させてしまうことになるので、0か100の戦いを挑んだ」とコメント。「逆転はされましたが、このゲームは生きていると感じたので、生きているのであれば、この先もっと生きられる方法をハーフタイムに伝えました。伝えたことを実行に移した、信じてやろうと思ってトライしてくれた選手たちを誇りに思う」と称えた。

取材・写真◎石倉利英

▼出場メンバー
・鳥取:GK糸原紘史郎、DF田中恵太、増谷幸祐、鈴木順也、文仁柱、MF世瀬啓人、普光院誠(90分:飯泉涼矢)、田村亮介(77分:長谷川アーリアジャスール)、東條敦輝(67分:小澤秀充)、牛之濵拓(77分:吉井佑将)、FW重松健太郎(77分:髙尾流星)

・長野:GK金珉浩、DF船橋勇真、池ヶ谷颯斗、高橋耕平、杉井颯、MF原田虹輝(66分:宮阪政樹)、加藤弘堅(79分:山中麗央)、小西陽向(79分:音泉翔眞)、三田尚希、近藤貴司、FW山本大貴(59分:進昂平)


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