上写真=Jリーグ30周年記念マッチに向けて調整を続ける牛之濵(写真◎石倉利英)
「あの舞台に立ちたいと思わせてくれた選手」
鹿児島ユナイテッドFCからの期限付き移籍で加入した今季、牛之濵は明治安田生命J3リーグで開幕から先発出場。3試合の欠場を挟んで第8節までに5試合に出場するも得点はなく、チームも開幕2連勝後は4分け2敗と未勝利が続いていた。
だが5月3日の第9節・FC琉球戦で12分にFW富樫佑太の先制点をアシストすると、19分には自ら決めて2点目。29分に1点を返された後の42分には3点目を決めて突き放し、全3得点に絡む活躍で3-2の勝利に貢献した。
待望の加入後初ゴールと7試合ぶりの勝利を「ホッとしましたし、チームが勝てたことが一番よかった」と振り返った牛之濵は、「ファン・サポーターの皆さんに、やっと結果を見せることができた。本当にうれしかったです」と納得の表情。クロスバーに当たった味方のシュートに瞬時に反応し、体を投げ出して決めた自身2点目のダイビングヘッドなど、体のキレを感じさせるプレーを見せて「コンディションも上がってきています。もっと上げていきたい」と意気込んだ。
5月14日の次節は、ホームでアスルクラロ沼津と対戦する。会場は米子市にある練習拠点のオールガイナーレYAJINスタジアム。今季2分け2敗で未勝利のホームでの初勝利に向けて、牛之濵は「日頃から練習しているグラウンドで、米子市の人たちに見てもらえるという意味でも大事な試合。モチベーションは高いです」と言葉に力を込めた。
さらに、この沼津戦にはもう一つ、特別な思いがある。今季から沼津の指揮を執っている中山雅史監督の存在だ。
小学生時代からアビスパ福岡のアカデミーでプレーしてきた牛之濵は、幼少期から家族とともに博多の森球技場(現ベスト電器スタジアム)に足を運び、福岡の試合を見ていた。2001年11月3日、9歳のときのジュビロ磐田戦で、中山が鮮やかなヘディングシュートでVゴールを決めた姿をよく覚えているという。
「雨の中の試合で、ゴン中山さんが決める姿をゴール裏で見て、アビスパを応援していましたが、『すごい』とあこがれました。Jリーグでプレーしたい、あの舞台に立ちたいと思わせてくれた選手。その人と対戦できるのは、すごくうれしいです」
Jリーグの歴史に残る名手が率いるクラブとの30周年記念マッチ。あこがれのストライカーの目の前で、今季ホーム初勝利と連勝への貢献を期している。
取材・写真◎石倉利英