天皇杯 JFA 第103回全日本サッカー選手権大会の予選となる都道府県選手権大会にはJ3のクラブが出場するため、プロとアマチュアの対戦も多い。4月23日の鳥取県代表決定戦では、J3のガイナーレ鳥取と中国リーグのYonago Genki SCが対戦。昨季まで鳥取に在籍していたYonago Genki SCのGK福留健吾にとっては、特別な一戦となった。

上写真=1年前はプロ選手として出場していた天皇杯の鳥取県代表決定戦。福留は1年後に反対側のゴールを守り、古巣からの勝利を目指した(写真◎石倉利英)

「今日は勝ちに来ました」

 後半アディショナルタイムの90+5分、鳥取の6点目が決まった。直後に試合終了のホイッスルが鳴り、6-1で鳥取が勝利。次の瞬間、福留はGKグローブをはめている左手に右手を強くたたきつけ、大きな音を響かせて悔しさをあらわにした。

 J3のプロクラブと、2つ下のカテゴリーのアマチュアクラブの対戦なのだから、妥当な結果に見える。だが福留は試合後の会見冒頭で、本気で勝利を目指していたことを強調した。

「天皇杯に出場することは、シーズンが始まる前から掲げていた目標。みんなが口だけではなく、本当に目標の一つということで取り組んできました。自分たちにとってすごく大きなチャレンジであり、目標を達成するためには越えなければいけない壁。今日はチャレンジャーという姿勢を持ちつつも、勝ちに来ました」

 無失点の時間をできるだけ長くすることがジャイアントキリングには必須だったが、立ち上がりの8分に失点。その後は何とか持ちこたえていたものの、30分の2失点目を皮切りに守備が乱れ、0-4で前半を終えた。52分にDF大淺隼也がFKを直接決めて1点を返したが、鳥取を慌てさせるには至らず。後半アディショナルタイムに2点を追加され、力の差を見せつけられた形になった。

 会見の途中で数秒間、言葉が途切れた福留は、強い口調で続けた。

「悔しいです。勝つためにここに来たので、この結果はしっかり受け止めなければいけないと思います。チームとして一つ上がっていくために、自分たちの課題と向き合い、自分自身の課題とも向き合って、次のリーグ戦や、全社(全国社会人サッカー選手権大会)の予選もあるので、チームとしてパワーアップしていきたい」


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