上写真=アスルクラロ沼津の新監督に就任した中山雅史氏
高島社長「最初に候補に挙がったのが中山監督」
かつて日の丸を背負って世界と戦った“魂のストライカー”が、沼津とともに新たな戦いに挑む。
J3で戦う沼津の新監督に就任した中山雅史氏は、1月17日の会見で開口一番に「全身全霊を込めて勝利に向かっていきたいです」と抱負を述べ、次のように続けた。
「(沼津が)この静岡県東部地域のシンボルとなれるように、熱い戦いをグラウンドの上で展開していければいいです。それもこれも、僕自身が選手とどこまで高めていけるのか、チームとして結束していけるのかに懸かっていると思うので、今は野心でいっぱいですが、シーズン中にどういうことが起き、それに対してどういう対応を取っていくのか、そういうことも非常に重要かなと思っています」
現役時代に得点を量産し、ワールドカップの日本人第1号ゴールを記録した中山監督は、昨季までは古巣である磐田のコーチを務めた。監督としてのキャリアのスタート地点に立ち、「これまで監督経験がないため、自分ができるのか不安はありました」と本音を話すが、「自信が過信になったとき、やはりチームに甘いところが出てくる。慢心になったときにも、それがピンチになり得ることを自分自身も経験してきていますから、そういうことがチームとして無いように指揮していければと思っています」と、自身の経験を踏まえて指揮を執る。
また、昨年12月に沼津の社長となった高島雄大社長は「まずは勝利への欲求がすごく高い人、またモチベーターであること、そして質の高いトレーニングを構築できる人だということを重点的に、リストアップしてきた」と監督の選考基準を明かし、「そのなかで最初に候補に挙がったのが中山監督。選手としてのすばらしい実績があり、このアスルクラロ沼津にも6年間在籍している。ユースでも2年間指導するなど、このクラブのことを知り尽くしている人だからこそ、最初に声をかけて交渉を進めてきた」と、中山監督就任までの経緯を説明。「監督の仕事を引き受けてくれたことに、とても喜びを感じている。クラブのスタッフ全員でできる限りのサポートをし、いい準備をして開幕に向かっていきたい」とも話し、J2昇格に向けて中山監督を支えていく。
「攻守一体というところを極限まで高めていきたい。当然、それにはハードワークが必要になるが、ただ動くだけでなく、いろんな情報を得て“考えるハードワーク”を(選手には)してもらいたい。自分たちがやろうとしていること、アグレッシブに戦うこと、守備面でも自分達から仕掛けてボールを奪い、すぐさま攻撃に移ることをどれだけ当たり前にできるのか。常に、すべての試合でそれが表現できるのかが重要だと思っています」(中山監督)
会見の最後には、今シーズンのスローガンでもある「結束 熱く闘え!」という言葉を、中山監督自らの筆でしたためた。この日、2023シーズンの始動日を迎えたトップチームの選手たち、クラブスタッフ、そしてホームタウンの人々とともに、中山監督が沼津の新たな歴史を築いていく。