上写真=16分に先制PKを決めて笑顔を見せる田口(写真◎石倉利英)
■2021年12月5日 J3リーグ第30節(@Axis:観衆1,584人)
鳥取 3-0 八戸
得点:(鳥)田口裕也、石川大地、鈴木順也
シーズン終盤に得点を上積み
ホームでヴァンラーレ八戸と対戦した鳥取は、「ここ数試合、自分としてもチームとしても、かなり良い形で攻撃できていると思っていました。連係が深まったと思う」という田口の言葉通り、立ち上がりから押し気味に進めた。16分にはエリア内で田口が倒されてPKを獲得。「PKを取った瞬間から、絶対に自分で蹴ると決めていました。あそこに強いボールを蹴り込んで、入ってくれという気持ちだった」と振り返る右下スミへの鋭いキックで先制点を奪った。
これで今季9得点として、目標の2ケタ得点にリーチをかけた。しかしその後のチャンスを決められず、終盤には足がつって、79分に担架で運ばれて交代。チームは3-0で勝利したものの、「(2ケタ得点を)狙っていたので、勝ちもうれしいですし、ゴールもうれしいですが、悔しさが残りました」というシーズンの幕切れとなった。
四日市中央工高(三重)から昨季加入し、高卒1年目にして開幕戦でJリーグ初ゴールを決めると、チーム最多の8得点。今季も開幕戦で途中出場からシーズン初得点を決め、さらなる活躍が期待されていた。だがその後はゴールから遠ざかり、チームも成績不振で第7節終了後に髙木理己前監督を解任。金鍾成監督の就任後、前半戦最後の第15節で今季2点目を挙げたものの、再開後の後半戦は控えスタートが続き、第21節ではベンチ外も経験した。
「スタメンで出る機会を自分の力でつかみ取ることができず、出たチャンスでも結果を出せなかったのは反省点。でも、スタートで出たら点は取るよ、と気持ちを込めてやっていた」と語る。第25節で途中出場からプロ初の1試合複数得点となる2得点を挙げると、先発に復帰した第26節で1得点。第28節に1得点、第29節に2得点というラストスパートで、最終節で昨季の8得点を上回った。
最後の6試合で7得点を挙げた自身と同じく、チームも最後の3試合を3連勝で締めくくったものの、15チーム中12位に終わり、J2復帰という長年の目標を考えれば遅きに失した成績に。「結果を出せたのはよかったと思いますが、もっと早い段階でできていたら、チームの順位も変わっていたと思うので、申し訳ない」と厳しい表情を浮かべた。
この日の試合は、契約満了が発表されたMF可児壮隆、DF藤原拓也、FW谷尾昂也にとっては鳥取での最後の試合。特に可児への思い入れは強く、「可児さんの鳥取での最後の試合。負けて送り出すことはあり得ないと思っていた」と語る。今季はJ3ワースト記録となるホーム8連敗を喫するなど苦しんだが、終盤はホーム3連勝を飾り、「サポーターの皆さんの声援がすごく力になった。点が入ったときや、勝ったときに皆さんと喜ぶのは最高だと思った」と感謝した。
1年目が8得点、2年目が9得点で、来季は2ケタ得点はもちろん「得点王を目指したい」ときっぱり。「最終戦も多くのサポーターの皆さんに来ていただいて、1年間応援していただき、ありがとうございますという気持ちと、本当に申し訳ないという気持ち、両方です」と思いを明かし、「来季は昇格する姿を見てほしい」と意気込んだ。
現地取材・写真◎石倉利英