上写真=1月20日、鳥取でプロ初練習に臨んだ石田(中央、写真◎石倉利英)
「J3優勝、J2昇格に導けるように」
1月20日に行なわれた今季初の全体練習。数人ずつのグループに分かれ、決められた時間内にグラウンドの周囲を走るペース走で、設定よりも大幅に速いスピードで集団の先頭を走り、周りの選手に「速いよ!」と突っ込まれていた。思わず気がはやったのは、強い意気込みの表れでもあっただろう。
市立船橋高(千葉)の主将として日本一を目指した高校選手権は、5日の準々決勝で帝京長岡高(新潟)に敗れた。「もっとイチフナで、このチームで(サッカーを)したかった」と涙を流してから約2週間。10日に加入が発表された鳥取で初練習と新加入選手会見に臨み、「自分のプレーの特徴は、声や対人プレー、チームのために戦うこと。ガイナーレ鳥取をJ3優勝、J2昇格に導けるように日々精進します」と決意を口にした。
大学からの誘いをすべて断って進路をプロ一本に絞り、11月末に鳥取の練習に参加して加入が決まった。練習試合でのプレーも高く評価され、プロ1年目の背番号は15番と発表されている。
吉野智行強化育成部長は今季の補強ポイントとして「ディフェンダー陣の高さ」と「ドリブルで打開できる力」を挙げているが、石田は175センチとCBとしては小柄。「高さがなく、ドリブルもあまり得意ではないので、何で獲得してくれたのかなと自分でも思っている」と遠慮がちに語りつつ、「チームを引っ張る、チームのために戦うことには自信を持っています。高さなどは周りに劣りますが、サッカーはもちろん、オフ・ザ・ピッチのところなど、姿勢で見せていければ」とアピールした。
市立船橋高の波多秀吾監督から、今後に向けて「自分次第だ、と言われました」と明かした。「選手権で悔しい思いをして、その悔しさをガイナーレで、プロでぶつけることは意識しています。それは波多先生にも言われました。自分自身の行動で、今後の自分の人生が決まっていくので、意識しながらやっていきたい」と言葉に力を込める。
主将として、母校を代表して戦う覚悟を「イチフナで3年間やってきた仲間や、後輩、先輩もいる。イチフナの看板を背負っている以上、イチフナOBとして、ということは強く意識しています」と表現する。「プロ1年目ですが、プロサッカー選手である以上、サッカーで勝って、ご飯を食べていくことに強い覚悟を持っています。サッカーに人生を懸けているので、その過程でガイナーレがJ2に昇格できるように、そこに自分が絡んでいけるように、日々努力します」という言葉には18歳とは思えない気迫、すごみが漂う。
一方で「初練習を終えて、プロとしての実感が湧いているか」との質問に、自分に向けられている何台ものテレビカメラやマイクを見渡してから「いま、すごく実感が湧いています。こんなに囲まれて、マイクが何本もあるので」と笑顔で初々しくコメント。「やっとスタートラインに立ったなと、いま実感しています」という言葉とともに、プロとして生き残っていくための新たな挑戦が始まった。
取材・写真◎石倉利英