上写真=福島戦でプロ初ゴールを決めた大久保(写真◎GAINARE TOTTORI)
「また入らないのか、と…」
試合後のオンライン会見では笑顔が絶えなかった。8月15日の福島ユナイテッドFC戦で待望のプロ初ゴールを決め、2-0の勝利に貢献したFW大久保優は「まだ1点も取れていなかったので、毎試合ずっと、自分の得点で勝たせると思ってピッチに入っていました。今日は自分の得点でチームに貢献できたので、とてもうれしい」と声をはずませた。
東山高(京都)から関西大を経て加入1年目。開幕前の練習試合では多くの得点を決めていたが、開幕後は結果を出せなかった。四日市中央工高(三重)から加入した同じ1年目のFW田口裕也が開幕戦でプロ初得点を決め、第9節までに3得点を決めているのとは対照的に、大久保は第2節から第5節はベンチ外。ヴァンラーレ八戸と対戦した前節は途中出場で決定的なシュートを外してしまうなど、ゴールが遠かった。
この日も1-0とリードした72分に交代出場した直後、決定機があった。エリア内左でMF魚里直哉のパスを受け、右足を振り抜いたが、右ポストに当たって決まらず。「蹴った瞬間に入ったと思って、ちょっと飛び跳ねてしまったんですけど…。『また入らないのか』と思った」と、ぬか喜びの瞬間を苦笑いで振り返る。
だが、めげなかった。後半アディショナルタイムの90+4分、MF安藤一哉の右からのセンタリングを相手GKがはじいたこぼれ球を蹴り込み、ついにプロ初ゴール。「(途中出場したときは)1-0で勝っていたので、守備から入るようにピッチに入りました。それでもカウンターで得点は狙っていたので、守備もしっかりやって、得点も取れたのはよかった」と真の喜びに浸った。
髙木理己監督は「これまで大久保がピッチにいる時間帯でスコアが動かなかった。もちろん彼のゴールはうれしいですし、素晴らしかった」と評価しつつ、「大久保優の力は、こんなもんじゃない。彼とともに喜び合えたことは、我々にとってすごく頼もしいことであり、次に向かっていくパワーになる」と期待を寄せた。大久保も「スキを突かれて間にパスを通されることがあったので、まだまだ」と守備の反省点を挙げ、攻守両面で今後さらにチームに貢献していく決意を新たにしていた。
現地取材◎石倉利英 写真◎GAINARE TOTTORI