上写真=プロ初の開幕戦に向けて練習に励む新井(写真◎石倉利英)
夏の練習参加で懸命のプレー
産業能率大から今季、ガイナーレ鳥取に加入したMF新井泰貴にとって、プロ初のシーズン開幕が間近に迫った。J3リーグは当初予定されていた3月8日から約4カ月遅れて、6月27日に開幕する。始動からプレシーズン、公式戦延期や活動休止・再開など、いろいろな出来事があった期間を振り返り、新井は「1月に合流してから長かったですが、充実していました」と振り返った。
神奈川県の湘南レオーネから湘南ベルマーレジュニアユース、同ユースを経て産業能率大へ。卒業後を1年後に控えた昨年の春、まず取り組んだのは、一般企業への就職活動だったという。「プロでサッカーをしたい思いはありましたが、人として就職活動を経験して、どんな企業があるのか知りたかった」という考えがあり、実際に1社から内定も。「就職活動をしたことで、あらためてプロサッカー選手になりたい思いが強くなった」が、一区切りついた後は関東大学2部リーグでのプレーに集中していた。
話が動き始めたのは昨年の夏。大学の練習がオフで、寮から実家に戻っていたときに、鳥取から練習参加の話が舞い込んだ。懸命のプレーを見せながら「このチームでプレーしたいと思った」という熱意が実り、11月に加入内定が発表された。
6月13日のサンフレッチェ広島との練習試合ではボランチの一角でフル出場するなど、定位置確保を目指して奮闘している。「自分の特徴は守備面で、ボールを奪うプレーは、もっと出していく必要がありますが、少しずつ出せていると思います」と現状を分析。課題も見いだしており、「技術面や、状況に応じて判断を変えるプレーは、まだまだ周りと比べて劣っている」。開幕が遅れ、練習に費やす日々が長くなったことで、そうした課題を「より強く感じることができた」という。
2013年以来のJ2復帰を目指す鳥取で、やるべきことは理解している。「チームの目標を達成することはもちろん、試合に出て、自分の価値を見せなければいけない。チームの力になってこそ、自分も結果を残せる。強い気持ちでやっていきたい」。就職活動を経て、自らの力で切り開いたプロの道を、いよいよ歩き始める。
文◎石倉利英 写真◎石倉利英