上写真=「しばふる」では、これまでに保育園など6施設を芝生化。利用者に喜ばれているという(写真◎ガイナーレ鳥取)
保育園の園庭などに芝生を
社会課題や共通のテーマ(教育、ダイバーシティ、まちづくり、健康、世代間交流など)に、地域の人・企業/団体(営利・非営利問わず)・自治体・学校等とJリーグ・Jクラブが連携して取り組む活動である『シャレン!(社会連携活動)』。今回開催された『2020Jリーグシャレン!アウォーズ』は、Jリーグ全56クラブの活動の中から、特に社会に幅広く共有したい活動を表彰するもので、Jリーグの村井満チェアマン、原博実副理事長などが選考委員となって各賞を選定した。
各賞の一つである『メディア賞』は、報道各社のスポーツ担当者などが選考委員を務め、「記者として、自身の媒体に取り上げたいと思う活動であること」が選考基準。ガイナーレ鳥取は『芝生で地域課題解決!「しばふる」で街も人も笑顔に!』で同賞の受賞が決まった。
鳥取が2017年から活動している「しばふる」は、鳥取県米子市の練習拠点であるチュウブYAJINスタジアムの施設管理で培った芝生ノウハウをもとに、複数の協力者と立ち上げた芝生生産プロジェクト。米子市の地域課題である遊休農地(後継者の不在などで手がつけられていない耕作放棄地)を借りて芝生を生産し、その芝生を教育施設や多目的広場、社屋などに販売するというものだ。
芝生の生産はスタッフだけでなく、企業協力や障碍(しょうがい)者による軽作業協働でも実施。施工実績も増えており、18年に鳥取県境港市の『つばさ保育園』の園庭を初めて芝生化して以来、鳥取県と広島県で、高校や子ども向けクリニックなど計6カ所、広さにして6300平方メートルを芝生化している。
会見に臨んだ塚野真樹・代表取締役社長は「プロジェクトの特徴を多くの方にいいね、と言っていただいた」と喜びのコメント。さらに「新型コロナウイルスの影響で、家にいなければいけない状況で、体を動かすことの大切さが、あらためて広がっているのではないか。芝生の上で体を動かしたり、おしゃべりをしたりするときに、我々が地元の皆さんと育てた芝生を役立ててもらえれば」と活動の広がりに期待を寄せた。
岡野雅行・代表取締役ゼネラルマネジャー(GM)も「『しばふる』が受賞して、とてもうれしい」と笑顔。「ガイナーレが地元の方々と芝生を作ることになり、芝生を入れたところの皆さんにも、喜んでもらっている」と手応えを口にした。
岡野GMは、つばさ保育園を訪問した際、保育士の方から「以前は子どもたちが外で遊んだ後、中に入る前に足についた泥を落とすのが大変だったが、芝生になってからは汚れない」「転んでもケガをしないので、安心して遊べる」と喜びの声を直接、聞いたという。芝生化の効果を実感したことで、「これからも地域の皆さんと一緒に活動していきたい」と今後への決意を語った。
鳥取では今回の受賞を機に、公式オンラインストア『しばふる直売所』を立ち上げ、「しばふる」で生産した芝生(ティフトン芝)1000平方メートル分の予約販売をスタート(7月発送予定)。事業の拡大とともに、社会連携活動のさらなる広がりにも力を入れていくことになる。
文◎石倉利英 写真◎ガイナーレ鳥取、石倉利英